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バーバリアン・タロック
(Bavarian Tarock)

2006/9/2 赤桐

 普通のトランプでプレイしますが、タロットカードのルールをもとにしたゲームです。ドイツのバーバリアン地方でプレイされています。ミュンヘンなどです。現地ではTarockまたはHaferltarockと呼ばれるようです。ルールはMichael Dumjet氏著の"Twelve Tarot Games"によります。


プレイヤー

 3人。

カード

 通常の52枚のカードから、各スートを除いた、36枚のカードを使います。正式には注1のようにドイツのトランプを使います。

 各カードには次のような点数があります。
11点
10 10点
4点
3点
2点

 上記以外のカードは0点です。 全部で120点になります。

 各スートのカードと強さの順位は強いものから順に:

   10Q   となります。

ポット

 各プレイヤーはポーカーチップなどを持ちます。ゲームが始まる前に各プレイヤーはそのうち100ユニットずつをポット(Haferl)に入れます。(100ユニットとはポーカーチップなどの100点分ということです。ポットとはそれを入れる入れ物、またはそれを置くテーブルの場所のことです。)

ディール

 最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは、ディーラーは時計回りに交代します。

 ディーラーは、時計回りに、各プレイヤーにまず4枚ずつまとめて配り、次に3枚ずつまとめて配ります。そのあとテーブル中央に裏向きに3枚配り、最後に各プレイヤーに4枚ずつ配ります。

ビッド

 ディールが終わると各プレイヤーは自分の手札を見てビッドをします。これによって、デクレアラーを決めます。

 ディーラーの左隣のプレイヤーからビッドを始め、時計回りにビッドを進めます。ただし、ディーラーの左隣のプレイヤーとディーラーの右隣のプレイヤーがどちらもパス以外のビッドをした場合には、どちらかがパスをするまで、この2人で交互にビッドを行います。どちらかがパスをしたら、つぎにディーラーがビッドします。

 ビッドの種類は、弱いものから順に、「プレイします("Ich spiele")」、「私もプレイします("Ich spiele auch")」、「5点増し」、「10点増し」、…、「55点増し」(5点きざみ)です。

 1度パスをしたプレイヤーは2度とビッドには参加できません。パスをしない限り何度でもビッドを行えます。

 最初にパス以外のビッドをするプレイヤーは最も弱いビッドつまり「プレイします」を宣言しなけれなりません。今までにパス以外のビッドがあった場合は、今までのコントラクトよりも1段階だけ強いビッドをするかパスをしなければなりません。

 ただし、席順が上位のプレイヤーは下位のプレイヤーのビッドに対して「私のほうがプレイします("Ich spiel vorn")」というビッドをするかパスをしなければなりません。このビッドは下位のプレイヤーのビッドと同じビッドをするという意味ですが、そのまま決まれば、上位のプレイヤーの方がデクレアラーになります。席順は、ビッドの順と同じように、ディーラーの左隣が1番上位で、以下ディーラーの右隣、ディーラーの順になります。

 2人がパスをした場合、残る1人がパス以外のビッドしていれば、そのプレイヤーがデクレアラーとなりビッドが終了します。(最初の2人がパスをした場合には、ディーラーは「プレイします」をビッドしてデクレアラーになることができます。)

 3人全員がパスをした場合にはこのディールは終了し、ディーラーは次のプレイヤーに移ります。

プレイの前に

 「プレイします」のビッドでデクレアラーになったプレイヤーは、プレイするゲームの種類を、アウフナーメ(Aufnahme)あるいはハントシュピール(Handspiel)にすることができます。

 「私もプレイします」のビッドでデクレアラーになったプレイヤーは、ハントシュピールのプレイをすることになります。

 「5点増し」のビッドでデクレアラーになったプレイヤーは、5点増しのプレイをします。同様に「〜点増し」のビッドでデクレアラーになったプレイヤーは、(その点数)増しのプレイをします。

 (「私のほうがプレイします」のビッドでデクレアラーになったプレイヤーは、その直前のビッドが「私もプレイします」ならハントシュピールのプレイを行い、直前のビッドが「〜点増し」なら〜点増しのプレイをします。)

アウフナーメ(Aufnahme)

 この場合には、デクレアラーはまずテーブルの上の3枚のカードを手札に加えます。その後どのスートを切札にするかを宣言し、3枚のカードを捨て札します。カードを取るときも捨てるときも他のプレイヤーに見せる必要はありません。何を捨て札してもかまいません。捨て札されたカードに点数があれば、プレイの後、デクレアラーのものになります。

 トリックで取ったカードと捨て札の点数を合わせて、61点以上を取ればプレイ成功になります。

ハントシュピール(Handspiel)

 テーブルの上の3枚のカードはそのまま捨て札になります。このカードに点数があれば、プレイの後、デクレアラーのものになります。デクレアラーは、どのスートを切札にするかを宣言します。

 トリックで取ったカードと捨て札の点数を合わせて、61点以上を取ればプレイ成功になります。

5点増し、10点増し、…、55点増し

 ハントシュピールと同様に、テーブルの上の3枚のカードはそのまま捨て札になります。

 5点増しの場合には、トリックで取ったカードと捨て札の点数を合わせて、61点に5点をプラスした66点以上になればプレイ成功です。以下同様に、10点増しなら71点以上、15点増しなら76点以上などとなります。

プレイ

 このゲームではプレイは常に時計回りに行います。トリックテイキングゲームです。

 まず、ディーラーの左隣のプレイヤーが自由に手札の中の1枚のカードを選んでテーブルに出します(これをリードすると呼びます)。他の2人は順に次のように手札からカードを1枚出します。

 リードされたカードが切札(切札として指定されたスートのカード)であった場合は、手札に切札がある場合には切札を出さなければなりません。ない場合にはどのカードを出してもかまいません。

 リードされたカードがそれ以外のスートのカードであった場合には、そのスートのカードが手札にあれば、そのスートのカードを出さなければなりません。ない場合には切札を出さなければなりません。切札も持っていない場合にはどのカードを出してもかまいません。

 こうして3枚のカードが出されると1トリック終わったことになります。

 出されたカードの中に切札がある場合には、一番強い切札を出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます。切札がない場合には、リードされたスートのなかで1番強いカードを出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます。

 勝ったプレイヤーはこのトリックに出された3枚のカード(これもトリックと呼ぶ)を取ったことになり、自分のところに裏向きに置きます(手札には加えない)。

 トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行い(手札から自由に1枚を出し)、同様にプレイが続きます。

 11トリックのプレイを行って、手札を使いきったらプレイは終了です。

得点

 デクレアラーが61点以上取った場合には、プレイ成功となります。61点未満だと失敗になります。ただし、「〜点増し」のゲームの場合には、61点にその点数を加えた分を取らないと成功にはなりません。(取った点数には捨て札の点数も含みます)。

アウフナーメの場合

 プレイが成功した場合、取った点数から60点を引き、5を単位として繰上げした点数を出します。61点〜65点なら5点、66点〜70点なら10点などとなります。

 デクレアラーは、ポットからこの点数分のユニットをもらいます。ほかの2人のプレイヤーはユニットのやりとりはありません。

 プレイが失敗した場合、61点から取った点数を引き、5を単位として繰上げした点数を出します。56点〜60点なら5点、51点〜55点なら10点などとなります。

 デクレアラーは、他のプレイヤーの1人にこの点数分のユニットを支払います。もう1人のプレイヤーはポットからこの点数分のユニットをもらいます。

ハントシュピールの場合

 プレイが成功した場合、アウフナーメと同様に点数を計算します。この点数分のユニットを他の2人のプレイヤーそれぞれからもらいます。ポットからは出し入れしません。

 プレイが失敗した場合も、アウフナーメと同様に点数を計算します。この点数分のユニットを他の2人のプレイヤーそれぞれに支払います。ポットからは出し入れしません。

5点増し、10点増し、…、55点増しの場合

 プレイが成功した場合、取った点数から、「5点増し」なら65点、「10点増し」なら70点、「15点増し」なら75点…を引いて5を単位として繰上げした点数を出します。5点増しの場合なら、66点〜70点なら5点、71点〜75点なら10点などとなります。

 これにボーナス点を加えます。ボーナス点は「5点増し」なら10点、「10点増し」なら20点、…などとなります。つまり「N点増し」なら、( 2 x N )点のボーナス点となるわけです。

 ハントシュピールの場合と同様に、この点数分のユニットを他の2人のプレイヤーそれぞれからもらいます。

 プレイが失敗した場合には、「5点増し」なら66点、「10点増し」なら71点、「15点増し」なら76点…から取った点数を引いて5を単位として繰上げした点数を出します。5点増しの場合なら、61点〜65点なら5点、56点〜60点なら10点などとなります。

 ハントシュピールの場合と同様に、この点数分のユニットを他の2人のプレイヤーそれぞれに支払います。ボーナスは加えません。

ゲーム

 アウフナーメのプレイをしてポットから支払った結果、ポットのユニットがなくなったらゲーム終了となります。

 最後の支払いで、計算した点数よりもポットのユニットのほうが少なかった場合、そのユニットだけで支払いが行われます。プレイが成功した場合には、ポットにあるユニットだけしかデクレアラーに支払われません。プレイが失敗した場合には、デクレアラーはポットのユニットと同じだけを1人のプレイヤーに支払い、もう1人はポットに残ったユニットをもらいます。


注1

 ドイツのカードのスートは、木の葉(Shippe)、どんぐり(Eichel)、鈴 (Schelle)、ハート(Herz)の4つのスートからなっています。便宜的に、木の葉=スペード、どんぐり=クラブ、鈴=ダイアモンド、ハート=ハートと考えてよいでしょう。

 各スートはアス(As=エース)、ケーニッヒ(Koenich=キング)、オーバー(Ober, クイーンに対応)、ウンター(Unter,ジャックに対応)、10、9、8、7、6からなります。オーバーはスートのマークを上の 方に持った士官、ウンターはスートマークを下の方に持った士官です。


8月2日なかよしむらでプレイしました。なんというか、普通に面白いゲームです。