1998/7/7 赤桐
クラバヤスの一種です。1914年ごろにフランスに入ってきたあと、タロットと並んでフランスの国民的なゲームになりました。フランス以外では知名度の低いゲームですが、面白いゲームです。
2人〜4人。 4人ゲームをまず紹介します。向かい合った2人がパートナーになります。
各スートのA、K、Q、J、10、9、8、7の32枚。
トリックテイキングにより点数のあるカードを取ることにより得点します。手役もあります。
プレイの前に切札を決めたチームは、相手チームより点数をたくさん取らなければ得点できません。
切札の場合 | ランク | J | 9 | A | 10 | K | Q | 8 | 7 |
点数 | 20 | 14 | 11 | 10 | 4 | 3 | 0 | 0 | |
切札以外 | ランク | A | 10 | K | Q | J | 9 | 8 | 7 |
点数 | 11 | 10 | 4 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 |
各プレイヤーの配られたカードの中に次のような組み合わせがあれば、点数があります。
同じスートの3枚以上の続き札です。例えば、Q、J、10が手札にあればシークエンスになります。シークエンスを判定するときには、カードのランクは(高)A、K、Q、J、10、9、8、7(低)の順の並びになります。
3枚のシークエンス(tierce) | 20点 | |
4枚のシークエンス(cinquante) | 50点 | |
5枚のシークエンス(cent) | 100点 |
6枚以上のシークエンスは数えません(5枚シークエンスの扱いになります)。
同じランクのカード4枚が手札にあった場合です。例えば、Aが4枚あればカレになります。ただし、7や8が4枚あってもカレになりません。
どのランクにより、次のように得点が異なります。
J | 200点 | |
9 | 150点 | |
A、10、K、Q | 100点 |
切札のキングとクイーンを手札に持っていれば20点が与えられます。
ブロット以外の手役の点数は、最も強い手役を持っているチームにだけしか与えられません。手役の強さは次の通りです。
1)カレのほうがシークエンスより強い。
2)点数の高いカレのほうが、点数の低いカレより強い。
3)同じ点数のカレでは、ランクの高いほうが強い。ランクは(強)A、10、K、Q(弱)の順です。
4)シークエンスでは、枚数の多いほうが強い。ただし、5枚より多くあっても5枚と同じです。
5)同じ枚数のシークエンスでは、ランクの高いほうが強い。(つまり、最も高いランクのカードどうしを比べて、そのカードのランクの高いほうが強いわけです。このときのランク順はもちろんA、K、Q、J、10, 9, 8、7です。)
6)同じ枚数の同じランクのシークエンスでは、切札のスートのシークエンスのほうが強い。
7)同じ枚数の同じランクの切札以外のシークエンスでは、プレイヤーの席順を調べます。ディーラーの左隣から時計回りの順で、早い順番のプレイヤーの手役のほうが強いとみなされます。
強い手役を持っているほうのチームは、それ以外にも2人に手役があれば、その手役の点数も得ることができます。
ブロットの点数は、宣言をすれば必ずもらうことができます。
座る位置とディーラーはドローで決めます。ドローのときのカードのランクは(高)A、K、Q、J、10、9、8、7(低)です。最も高いカードを引いたプレイヤーが自分の座る位置を決め、右隣にはディーラーが座ります。ディーラーは最も低いカードを引いたプレイヤーです。
次回からのディーラーは、時計回りに交代します。
ディーラーは右隣にカットしてもらった後、左隣のプレイヤーから、時計回りにカードを配ります。まず各プレイヤーに3枚ずつまとめて配り、次に2枚ずつまとめて配ります。
次のカードは表向きにテーブル中央に置き、切札候補カードとします。
ディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りの順に、 ビッドを行います。
最初の1巡には、切札候補カードのスートを切札にするかどうかをビッドします。誰かがこのスートを切札にすると宣言すれば、ビッドはそれで終わります。宣言したくない場合は、パスと言います。
最初の1巡で全員がパスをした場合、もう1巡のビッドを行います。このときには、切札候補カード以外ならどのスートでも切札にすることができます。誰かがパス以外のビッドをしたらそれでビッドは終了します。
2巡目のビッドも全員がパスをした場合、そのハンドは流れになります。次のディーラーが新しくディールを行います。
ビッドが終わると、ディーラーは配り残しているカードから各プレイヤーに3枚のカードをまとめて配ります。
ただし、切札を決めたプレイヤーには2枚しか配りません。このプレイヤーは切札候補のカードを手札に入れます。
ディーラの左隣のプレイヤーが最初のリードを行い、トリックテイキングのプレイを行います。
各プレイヤーの最初のプレイのとき、自分のカードを出す前に、ブロット以外の手役があれば宣言を行います。宣言は、シークエンスならば「4枚のシークエンス」などと言い、カレならば「ジャックのカレ」などと言います。
自分より先に自分より強い手役が宣言されていた場合や、手役を宣言したくない場合は、何も言わなくてもかまいません。
同じ強さのシークエンスが先に宣言されていた場合には、ひとまず同じ宣言をしておきます。最初のプレイが終わってから、時計回りにランクを宣言していきます(この場合も後で宣言するプレイヤーは劣っているならば宣言する必要はありません)。それでも同じならば、どちらかが切札スートかどうかを確認します。どちらも切札でなければ、席順で優劣を決めます。
最も強い手役のあったプレイヤーとそのパートナーは、手役をすべて宣言することができます。ただし、手役を構成するカードはすべて見せなければなりません(もちろん1トリック目で使ったカードは見せる必要はありません)。見せた後は、再び手札に戻します。
ブロットはまったく違った方法で宣言します。ブロットを持っているプレイヤーは、そのキングかクイーンのうちの1枚を最初にプレイするときに、「ブロット」と言います。さらに、2枚目をプレイするときに「ルブロット(rebelote)」と宣言しなければなりません。
1)今までに出た切札よりも強い切り札を持っている場合、強い切札を出さなければなりません。(パートナーが今までで最も強い切札を出している場合でも、それより強い切札を持っていれば出さなければなりません)。
2)弱い切札しかない場合、弱い切札を出さなければなりません。
3)切札を持っていない場合、どのカードを出してもかまいません。
切札以外がリードされた場合は次のようになります。
1)リードされたスートを持ってる場合、リードされたスートのカードを出さなければなりません。(強いカードを出す必要はありません。)
2)リードされたスートがない場合
i)パートナーが今までで最も強いカードを既に出している場合、切札でも切札以外でも、どのカードを出してもかまいません。ただし、パートナーが切札を出しているとき、それより強い切札を持っているのに、それより弱い切札を出すことはできません(ほかのスートは自由に出すことができます)。
ii)それ以外の場合・今までの出ている切札よりも強い切札を持っていれば、強い切札を出さなければなりません。弱い切札しかない場合でも、切札を出さなければなりません。切札がなければ、どのカードを出してもかまいません。
トリックに勝つのは、切札が出ている場合には最も強い切札を出したプレイヤー、切札が出ていない場合にはリードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーです。
トリックに勝ったプレイヤーが、次のリードを行います。リードするカードに制限はありません。
最後のトリックに勝ったチームには10点が与えられます(dix de der)。
各チームは、トリックに勝って取ったカードの点数と、最後のトリックの点数(勝ったほうに10点)と、宣言した手役の点数を加えたものを得点します。手役以外の点数の合計は162点になるはずです。
ただし、各チームのこの点数を比較して、切札を決めたほうのチームの得点のほうが少ないかあるいは同点の場合には、切札を決めたチームの得点は0点になります。相手チームは、162点に両方のチームの手役の点数を加えたものが得点となります。
あるチームが全トリックを取った場合には、そのチームは最後のトリックに勝った10点の代わりに100点をもらえます。これをカポット(capot=カポ)と呼びます。つまり、252点に自分の手役の点数を加えた得点になります。このとき、相手チームはブロット以外の手役の点数を得ることができなくなります。
何ディールか行って、得点計算の結果、累計点が1000点以上になったチームがあれば、そのチームの勝ちとなります。
どちらのチームも同時に1000点以上になった場合には、点数の高いチームの勝ちです。同じなら引き分けです。
「ノートランプ(sans atout)」と「オールトランプ(tout atout)」のビッドを認めることがあります。
ビッドのときには、1巡目でも2順目でも、普通のビッドと同じようにこれらのビッドをすることができます。また、誰かが切札を指定するビッドを行ったあとにも、残りの3人は順にこれらのビッドをする機会が与えられます。さらに、ノートランプのビッドのあとにも、残りの3人はオールトランプのビッドをする機会を与えられます。
ノートランプのときには、切札はないので、フォローできないときには必ず捨札することになります。ノートランプのときのカードの点数と最後のトリックの点数の合計は130点です。
ノートランプのときにはこの点数と手役の点数をすべて2倍にします。
オールトランプは、すべてのカードは切札ということですが、フォローできないとき他のカードを出すのは捨札になります。リードされたスートで、今までの出たカードより強いカードを持っていれば、出さなければなりません。すべてのスートは切札のランクと点数になります。オールトランプのときのカードの点数と最後のトリックの点数の合計は258点です。ブロットは最高4組できる可能性があります。
オールトランプのときにはすべての得点を3倍にします。
ゲーム終了の点数は3000点となります。
1度目のディールは4人ゲームと同じようにして5枚のカードを配ります。2度目のディールでは、切札を決めたプレイヤーを含め、全員に3枚を配ります。
そのあと、配り残りのカードの束の一番下のカードは表にして切り札候補の脇に置きます。このカードと切札表示カードはプレイには使われません。単にプレイの時の情報となるだけです。
3人ゲームでは、切札を決めたプレイヤーは、3人の中で最もたくさん点数を取る必要があります。同点でもいけません。
・すべての順番を時計回りではなく反時計回りで行うこともよくあります。このときには本文の「右」と「左」を逆に読み替えてください。
・John McLeod氏によると、ディールのとき、シャッフルは行わないで、カットだけして配るということです。
・1度目のディールで、3枚、2枚という順で配るか、2枚、3枚という順で配るかということを、ディーラーが選択できるというルールもあります。
・切札を決めたチームが相手チームよりたくさん点数を取っているかどうかを判定するとき、手役の点数を含めないこともあります。
・トーナメントルールでは、ブロット以外の手役は認めないそうです。
・現在では、プレイが始まる前に手役の宣言を行うことが多いようです。
・オールトランプのビッドを認めないで、ノートランプだけを認めることもあります。このとき、誰かが切札ビッドをしたあとでないと、ノートランプのビッドができないとすることが多いようです。
・ブロットのときに、キングを先にプレイしなければならないとすることもあります。
・切札以外がリードされてそのスートを持っていない場合で、パートナーがすでに最も強い切札をだしているとき、それより強い切札を持ってなくて弱い切札だけ持っているならば、捨て札をすることはできず、弱い切札を出さなければならないというルールもあります。
・カポットの点数を88点として、最後のトリックの10点を認めることがあります。つまり点数の合計は250点になります。