1997/12/31 赤桐
トランプを使った中国のゲームです。いろいろな名前がありルールのバリエーションも多いそうですが、中国で最も盛んなカードゲームの1つです。「友達探し」というゲームの基になったゲームでもあります。
百分とは100点のことで、1ディールでの点数の合計数です。打百分とは、100点を争うというような意味になります。私は「ダヒャクブン」と読もうと思っていますが、中国語の読みでは「ダーバイフェン」となります。他には「輪番昇級」と言ったりもします。
ポイントトリックゲーム(カードに固有の点数のあるトリックテイキングゲーム)なのですが、中国ゲーム特有の複数枚数のリードがあります。
ルールはJohn McLeod氏のインターネットのサイト(http://www.pagat.com/)によりました。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
普通の52枚のカードと2枚のジョーカーを使います。2枚のジョーカーは区別できなければなりません。1枚を大ジョーカー(大王)、もう1枚を小ジョーカー(小王)とします。
このゲームでは、1つのスートが切札になるだけでなく、あるランクのカードも切札になります。例えば、ハートと8が切札ということになれば、ハートのカード全部が切札で、8のカード(8、8、8、8)も切札になります。
また、大ジョーカーと小ジョーカーは常に切札です。
これらのカードは切札のスートに属し、元来のマークのスートには属さなくなります。上記の例では、例えば8はスペードには属さず、切札のスートとなります。
切札におけるカードの強さは、強いものから順に次のようになります。
切札以外では、通常のカードのランク(A、K...3、2)の順の強さになります。
カードには次のような点数があります。下記以外のカードには点数はありません。
各キング | 10点 |
各10 | 10点 |
各5 | 5点 |
各チームは、得点すると、カードのランクと同じように表わされる「ランク」が上がっていきます。最初はすべてのプレイヤーは2のランクです。ランクがAまで上がれば、そのチームの勝利でゲームは終わります。
各ディールで、プレイヤーの1人が「親」になります。親がいるチーム(親チームと呼びます)はプレイで点数をたくさん取ることをめざします。
親のいない方のチーム(防御チームと呼ぶことにします)は、プレイで40点かそれ以上取ることを目指します。40点以上取ることに成功したら防御チームの勝ち、40点未満しか取れなければ親チームの勝ちです。
親チームが勝てば、親チームで親でなかったほうのプレイヤーが次回の親になります。防御チームが勝てば、前回の親の右隣のプレイヤーが次回の親になります。
最初の親の決めかたは、次のディールの項で述べます。
ディールのやり方はヨーロッパのやり方とは全く違い、麻雀のように行います。つまり、テーブル中央にシャッフルしたカードを裏向きに置き、各プレイヤーが順に、自分でカードを取っていくのです。
まず、親は、シャッフルを行い、誰かに、カットしてもらってから、テーブル中央に裏向きにすべてのカードを置きます。
そのあと、親から順に反時計回りにテーブル中央に置かれたカードの一番上を1枚ずつ取っていきます。最後の6枚のカードは取りません。従って、各プレイヤーは12枚ずつの手札になります。
最初のディールでは親が決まらないので、カードをドローして、最も高いランクのカードを引いたプレイヤーが仮親となり、親の代わりにシャッフルを行い、最初にカードを取ります。なお、カードドローのとき同ランクならば、そのプレイヤーのあいだで引き直しです。ランクは大ジョーカーが一番強く、小ジョーカーがその次、それ以降はA、K、...、2の通常のランクです。
ディールの間に切札のスートを決めます。
切札のランクは、親チームのランクと同じであると、あらかじめ決まっています。最初のディールでは、2が切札です。
ディールの間に、プレイヤーが切札のランクと同じランクのカードを引いた場合には、そのカードを見せて、そのカードのスートを切札にすることができます。
例えば、最初のディールのとき、2を引いてきたら、このカードを見せて、スペード(と2)を切札にすることができます。
誰かがこのようにして切札を決めたら、それ以降のプレイヤーは切札のランクのカードを引いても切札のスートを決め直すことはできません。
なお、切札のランクのカードを引いても、それを見せる義務はありません。また、すぐに見せなくてもかまいません。自分の引く番でなくても、いつでもそれを見せて切札を決めることができます(もちろんほかのプレイヤーが切札を決める前でなくてはなりませんが)。
最初のディールでは、切札を決めたプレイヤーが親になります。
もしもディールが終わっても誰も切札を決めない場合には、親(仮親)は、配り残りの6枚のカードを1枚ずつ表向きにしていきます。このとき切札のランクのカードが出てきたら、そのスートが切札になり、それ以上他のカードは表向きにしません。
もし、6枚全部を表にしても切札のランクのカードがなければ、6枚の中のジョーカー以外の一番強いランクのカードのスートが切札になります。同じランクならば、先に表向きにしていた方が優先されます。
なお、配り残りのカードを表にしはじめたら、切札のランクを持っている人は、もうそれを見せて切札のスートにすることはできません。
最初のディールにおいて、このように切札のスートが配り残りのカードで決められた場合には、仮親が最初の親になります。
ディールが終わって、手札に切札が1枚もない場合には、そのプレイヤーは、手札を公開して、そのディールを流すことができます。このとき、パートナーに流すかどうか相談することはできません。
流れになった場合、プレイは行われず、そのときの親(仮親)のパートナーが仮親となって、次回のディールが行われます。
このときのディールでは、切札のランクはあらかじめ決まってはいなくて、自分のチームのランクと同じランクのカードを引いてきたときに、それを見せてそのカードのスートとランクを切札にすることができます。
もしも、そのときに誰も切札を決めない場合には、再び流れとなり、そのときの仮親のパートナーが仮親となり、ディールを行います。
親は、テーブルに残っている6枚のカードを手札に加えたあと、手札から自由に6枚のカードを捨て札します。捨て札したカードは裏向きのまま、他のカードと混じらないように、テーブルの隅に置いておきます(これを中国では底牌と呼びます)。
プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。ただし、このゲームでは、場合によっては複数枚数のリードを行うことができます。
最初のリードは親が行います。次からはトリックに勝ったプレイヤーがリードします。プレイは反時計回りに行われます。
防御チームが点数のあるカードを取った場合、そのプレイヤーの前に点数のあるカードを表向きに置きます。
点数のないカードや、親チームが取った点数のあるカードは、裏向きに捨て札します。このとき、親が手札を交換したときの捨て札といっしょにならないように注意してください。
リードすることのできるカードは次のようなものです。
これから詳しく説明します。
リードするプレイヤーは、自分の手札からどれでも1枚をリードすることができます。
フォローの義務は、ごく普通のもので次のようになります。
トリックに勝つのは次のプレイヤーです。
なお、同じ強さのカードでは、先に出したプレイヤーが勝ちます。同じ強さのカードとは、切札のランクのカードで切札のスート以外の3枚のカードです。
あるスートにおいて、あるカードより強いカードが他のプレイヤーの手札の中にはない場合、そのカードを「トップカード」と呼ぶことにします。
例えば、切札がハートと5だった場合で、あるプレイヤーの手札のスペードのカードがK、J、7、3だった場合、すでにAとQがプレイされていれば、KとJはトップカードになります。
なお、大ジョーカーと切札以外のAは常にトップカードになります。
トップカードは何枚かまとめてリードすることができます。ただし、リードするのは、すべて同じスートのカードでなければなりません。
フォローの義務は次の通りです(番号の少ない方が強い義務です)。トリックは、切札だけを出したプレイヤーがいた場合に限り、そのプレイヤーが勝ちます。そうでない場合にはリードしたプレイヤーが勝ちます。
もし、何人かのプレイヤーが切札だけを出した場合には、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。最も強い切札が同じ強さならば、次に強い切札を比べていきます。
なお、もし複数枚数をリードして、その中にトップカードでないカードが含まれていた場合には、リボークとなります。リボークをしたチームは、全トリックを負けたものとして得点計算します。
プレイが終了すると、防御チームは取ったカードの点数を合計します。
親が最初に捨て札した6枚のカードは、最後にトリックに勝ったチームのものとなり、そこに含まれる点数は2倍されます。
防御チームが40点かそれ以上を取れば防御チームの勝ち、そうでなければ親チームの勝ちです。
勝ったチームは、次のゲーム点を得ることができます。負けたチームは何ももらえません。(ただし、防御チームが40点〜75点の場合は、防御チームの勝ちですが、ゲーム点はもらえません。)
防御チームの点数 | ゲーム点 |
0点 | 親チームが2点 |
0点〜35点 | 親チームが1点 |
40点〜75点 | 得点なし |
80点〜95点 | 防御チームが1点 |
100点以上 | 防御チームが2点 |
既に述べたように、各チームは、得点すると、カードのランクと同じように表わされる「ランク」が上がっていきます。最初はすべてのチームは2のランクです。ランクは(低)2、3、4、5、6、7、8、9、10、J、Q、K、A(高)の順です。
勝ったチームは、ゲーム点の分だけランクが上がります。例えば、ランクが9のチームがゲーム点を3もらった場合、ランクは3つ上がってQになります。
得点計算の結果、あるチームのランクがA(以上)になると、そのチームの勝利でゲームは終わります。
ディールが流れになった時に、次のディールでも誰も切札を決めなかった場合に再び流れになるというのは、John McLeod氏の推測によります。ただし、仮親のパートナーが次の仮親になるという記述は私の推測です。