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ドッブン(Dobbm)

2003/2/1 赤桐

 オーストリアのインスブルグの西のシュツバイ(Stubai)谷で非常に盛んにプレイされてるゲームだそうです。トリックテイキングゲームです。同じオーストリアのBrixental BauermtarockやZuper Tappというゲームと近い関係にあるようですが、同じ地方でプレイされているドロッグンというタロットのゲームとも似ています。

 ルールはJohn McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)によります。


人数

 4人。5人でもできますが、その場合はディーラーはプレイに参加しません。

カード

 普通のトランプの各スートのからを除いた36枚のカードを使います。

 各スートのカードの強さは次の通りです(強いものから順):

   10

 常にハートが切札になります。

 正式には36枚のチロル地方のカードを使います。エースではなくがあって、それが最強のカードです。これをサウ(die Sau = 雌豚)と呼びます。クイーンの変わりにオーバー(Ober = 上士官)、ジャックの代わりにウンター(Unter = 下士官)があります。スートはハートどんぐりベルです。

カードの点数

 カードにはそれぞれ点数があります。この点数をたくさん取ることがプレイの目的になります。

11点
1010点
4点
3点
2点
0点

 全カードの合計点は120点となります。

ディール

 最初の ディーラー任意のやり方 で決めます。

 ディーラーは、ディーラーの左隣から時計回りに、まとめて4枚ずつ2回配ります。残りの4枚はテーブル中央に裏向きにおきます。これがドッブ(Dobb)となります。

 なお、2回目からのディーラーは前回のデクレアラー(後述)がなります。(5人ゲームではデクレアラーを行った後はディーラーになってプレイを休むことになります。)

ビッド

 ディールが終わるとビッドを行います。ビッドはディーラーの左隣のプレイヤーから時計回りに行いますが、ビッドの機会は各プレイヤーに1回だけしかありません(一巡しか回りません)。

 各プレイヤーは次の2種類のいずれかをビッドするか、パス(weiter)をします。

 誰かがドッブンをビッドしたら、それ以降のプレイヤーはソロかパス(gut)しかビッドできません。ソロのビッドがあったらビッドは終わります。

 最後にパス以外のビッドを行ったプレイヤーがビッドに成功したことになり、デクレアラーとなります。

 デクレアラーは他の3人を敵に回してプレイすることになります。1人で全得点の過半数以上を取ることを目指します。

 全員がパスをした場合はプレイは行われません。4人ゲームの場合には同じディーラーが新しいディールを始めます。5人ゲームの場合にはディーラーは左隣のプレイヤーに交代します。

交換

 ドッブンのビッドの場合には、デクレアラーはドッブのカード全部を他のプレイヤーに見せないで手札に加えてから、4枚のカードを裏向きに捨て札します。

 エースを1枚捨て札するときには、1枚以上の切札も捨て札しなければなりません。エースを2枚捨て札するときには、切札も2枚捨て札しなければなりません。3枚以上のエースは捨て札できません。(切札のエースを捨て札するときも、それ以外の切り札を1枚以上捨て札しなければならないのだと思います。)

 捨て札したカードの点数はプレイ終了後にデクレアラーの点数に加えられます。

 ソロの場合には交換は行われませんが、ドッブの点数はデクレアラーの点数に加えられます。

ダブルとリダブル

 交換のあと、デクレアラーの相手側のプレイヤーはダブル(shwacher)を宣言することができます。ダブルがあるとプレイの得失点は2倍になります。ダブルを宣言するかどうかは、まずデクレアラーの左隣のプレイヤーが決め、宣言しなければ、時計回りの順に残りの2人も決めていきます。誰か1人がダブルを宣言した時点でダブルは有効になるので、残りのプレイヤーは何もしません。

 ダブルが宣言されると、デクレアラーはリダブル(retour)を宣言して、プレイの点数をさらに2倍にすることができます。

 デクレアラーのリダブルがあると、相手側もリダブルを宣言して得失点をさらに2倍にし、それに対してデクレアラーがリダブルをかけるということを無制限に行うことができます。(もちろん、どちらかがリダブルをかけないことにすると、それで終わります。)

 なお、デクレアラーの相手側では、最初にダブルを宣言したプレイヤーと後でリダブルを宣言したプレイヤーが違ってもかまいません。

プレイ

 デクレアラーが最初のリードを行い、普通の トリックテイキングのプレイをします。プレイは時計回りです。

 リードされたスートがあればそのスートを出さなければなりません。ない場合には切札(ハート)を出さなければなりません。リードされたスートも切札もない場合には、どのカードを出してもかまいません。

 デクレアラー以外の3人は取ったカードを同じ山に置きます。

 プレイ中に自分の側の取ったカードや自分の捨て札を見ることはできます。ただし、ソロの時にはドッブのカードはデクレアラーも見ることはできません。

得点

 プレイが終わると、自分の側の取ったカードの点数を計算します。交換の時の捨て札やソロの時のドッブのカードはデクレアラーの点数となります。

 全部の合計点は120点なので、60点が基準点になります。

 デクレアラーの点数が60点より多い場合には、60点との差額を他の各プレイヤーがデクレアラーに支払います。5人プレイの場合には、プレイしなかったディーラーもデクレアラーに支払います。

 デクレアラーの点数が60点未満の場合には、60点との差額をデクレアラーが他の各プレイヤーに支払います。5人プレイの場合には、デクレアラーはプレイしなかったディーラーにも支払います。

 デクレアラーが60点ちょうどの場合には、どちらも支払いはありません。

 一方の側が全トリックを取った場合をマッチ(Match)と呼びます。マッチには特別な点数はありませんが、デクレアラーの相手側が全トリックを取った場合には、捨て札やドッブの点数もデクレアラーの相手側のものになります。つまり、マッチの時には、支払い点数は必ず60点となります。

 ソロの場合には上記の点数がすべて2倍になります。

 ダブルやリダブルがあった場合には、その倍数を掛けます。

  5人ゲームの場合に、全員がパスをして流れた場合には、新しくディーラーになったプレイヤーに全員が10点を支払います。これをストッケルル(Stockerl)と呼びます。これを行うのは、デクレアラーが成功することの方が多いのでディーラーがやや不利になる補償としてです(これ以外の場合には、その前に自分の意思でデクレアラーになっているので補償の必要はないのですが)。

 なお、通常は支払点数は5点単位などに切り上げられます(端数1点~4点→5点、6点~9点→10点)。

ゲームの終わり

 各ディールが独立したゲームになっているので、いつ終わってもかまいません。

 ただし、終わる前にムスルンデ(Mußrunde)をプレイすることがあります。この場合、ディーラーの左隣のプレイヤーは必ずドッブンまたはソロのビッドをしてデクレアラーにならなければなりません(他のプレイヤーはビッドできません)。全員がこのようにしてデクレアラーになってプレイし終わったらゲーム終了となります。