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ハート[米国ルール](Hearts)

1997/12/3 赤桐(2000/6/20訂正)

 ハートは19世紀の終わりごろに生まれたゲームですが、ルールが簡単で面白いため、現在では英語圏の国で最も普及しているカードゲームの1つとなっています。

 ここでは、アメリカ合衆国で行われているルールを取り上げます。ブラックマリア(Black Maria)と呼ばれる英国のルールや、ブラックレディーとしてなかよし村などで行われているルールは別に紹介したいと思います。また、ハートには魅力的なバリエーションがたくさんありますが、それらも別になります。

 ルールは、いろいろ調べましたが、John Hay氏のインターネットのサイト(http://www.geocities.com/TimesSquare/2767/)のものが最も参考になりました。けがわさんのNiftyへの書き込みも参考にさせていただきました。


プレイヤー

 3人〜5人。まず4人用ゲームを紹介します。

カード

 普通の52枚のカードを使います。

 各スートのカードの強さの順位は(強)10(弱)です。

ディール

 最初のディーラー任意に決めます。次回からは時計回りに交替します。

 各プレイヤーに1枚ずつ13枚のカードを配ます。

パス

 カードが配られたら、各プレイヤーは、自分の手札から3枚のカードを選んで、ほかのプレイヤーに裏向きで渡します。これをパス(pass)と言います。自分のカードを渡す前に、受け取るカードの中身を見てはいけません。

 パスのやり方は、次のようにディールごとに異なります。

  1. 最初のディールでは、左隣のプレイヤーにカードを渡す。
  2. 2度目のディールでは、右隣のプレイヤーにカードを渡す。
  3. 3度目のディールでは、向いのプレイヤーにカードを渡す。
  4. 4度目のディールでは、パスを全く行わない。

 5度目のディールからは、最初に戻って、左隣→右隣→向い→パスなし→左隣...というようになります。

プレイ

 パスが終わるとトリックテイキングゲームのプレイが始まります。

 最初にリードするのは、Cを持っているプレイヤーで、かならずCをリードしなければなりません。

 それ以降は通常のトリックテイキングゲームのルールに従います。切札はありません。つまり:

  1. リードされたスートのカードがあれば、そのうちの1枚を出します。なければどれでも1枚を出します。
  2. リードされたスートのうち、最も強いカードを出したプレイヤーがそのトリックを取ります(そのトリックに勝ちます)。
  3. トリックに勝ったプレイヤーが手札から自由に1枚を出して、次のトリックのリードを行います。

 ただし、ハートのリードができるのは、ハートのカードが1枚でも既にプレイされている場合、あるいは、手札にハートしかない場合に限られます。

得点

 トリックで取ったカードについて、次の罰点がつきます。

ハートの各カード1点
S13点

 ただし、1人のプレイヤーがすべての罰点のカードを取った場合、そのカードの罰点はなくなり、逆にマイナス26点の罰点(つまり26点の得点)となります。これをシュート・ザ・ムーン(Shooting the Moon)と呼びます。

ゲーム

 ディールが終わって、誰かの累計の罰点が100点かそれ以上になれば、ゲーム終了です。

 罰点の累計点の最も少ないプレイヤーが勝者となります。


3人ゲームと5人ゲーム

 ディールのとき均等に配ると1枚か2枚カードが余りますが、次のいずれかのやりかたで処理します。(余ったカードは裏向きに置いておきます)。

  1. 最初のトリックを取ったプレイヤーがそのカードを取る(全員がそのカードを見てから取ったカードの中に入れます)。
  2. 最初に罰点のあるカードを取ったプレイヤーが、上記と同様にそのカードを取る。
  3. 最初のトリックを取ったプレイヤーがそのカードを取って手札に入れ、それと同じ枚数のカードを捨て札する。捨て札はそのプレイヤーの取ったカードとして扱う。
  4. 最初に罰点のあるカードを取ったプレイヤーが、上記とおなじように手札にいれて捨て札する。
  5. 最初から1枚か2枚のカードをぬいておく。3人ゲームならば、DまたはCを、5人ゲームならばDCを抜くことが多いようです。Cを抜く場合には、最初のリードはCで行う。

 パスのやり方は、3人ゲームの場合、次のいずれかです:

 もし、3枚ではなく4枚のカードをパスすることにすれば、スキャッターを入れることもできます(2枚ずつ各プレイヤーにパスする)。

 5人ゲームの場合は:

 などのやり方ができます。

 なお、6人〜8人でも、同様にしてプレイすることはできます。


注1

 アメリカの少し古いルールでは、本文のものと次のように違いがあります。

  1. パスは常に左隣に行います(右隣や向いのこともありますが、常に同じ方向に渡します。)
  2. 最初のリードはディーラーの左隣から行います。どのカードをリードしてもかまいません。
  3. ハートのリードに対する制限はありません。
  4. ゲームの終了のしかたは、特に決まっていません。

 伝統的なルールブックにはこのやりかたが載っています。イギリスでも一時期はこのようにやっていたと思われます。

 もちろん今でもこのルールを使っている人もいるでしょう。特に最初のリードをディーラーの左から行うというルールは、今でもよく採用されます。

注2

 もっと古いルールでは、Sには罰点はありませんでした。

 このようなゲームと区別するために、今のようにSに罰点があるゲームは、ブラックレディー(Black Lady)と呼ばれていましたが、現在ではこの呼び方をされることは少なくなりました。

注3

 パスのやりかたは次のようなものもあります。

 スムーシュ(Smoosh)というやりかたをパスのサイクルの中に入れることもあります。パスするカードは全部テーブル中央に集め、それをシャッフルして各プレイヤーに3枚ずつ配るやり方です。

 また、各プレイヤーは、自分の手札からパスを行わないで、自分にパスされてきたカードをそのままパスで送ることができるというルールもあります。

注4

 最初のリードで、罰点のあるカードをプレイすることはできないというルールもあります。FGAME2のライブラリーにあるMILKさんのルールがそうなっています(Windows95付属のゲームのルールがそうなっているということです)。

 ハートのカードがプレイされた後だけでなく、スペードのがプレイされた場合でもハートのリードが可能になるというルールもあります。

 まだハートがプレイされていないときに、手札がハートのカードとSだけの人がリードする場合、ハートをリードしてもよいとするルールもあります。

 まだハートがプレイされていないときに、手札がハートだけのプレイヤーがリードすることになったら、そのディールを無効にしてもよいというルールもあります。

 Sは安全にプレイできる最初の機会にプレイしなければならない、というルールもよく採用されます。リードされたスートを持っていないときや、スペードのリードで、より強いカードが既にプレイされている場合には出さなければなりません。

注5

 D10をマイナス10点の罰点(つまりプラス点)とすることもあります。このD10をジャッキーと呼ぶこともあるようです。

 Hをマイナス5点として、合計点がちょうど30点になるようにすることもあります。

 全トリック取らないと、シュート・ザ・ムーンにならないというルールもあります。

 シュート・ザ・ムーンの点数をマイナス52点とすることもあります。

 シュート・ザ・ムーンをしたプレイヤーの罰点をマイナス26点とする代わりに、他のプレイヤー全員が26点の罰点となるというルールもあります。

 また、普通は他の他のプレイヤー全員を26点の罰点とするが、そうすると誰かが100点を超え、しかもシュート・ザ・ムーンした人が一位にならないならば、シュート・ザ・ムーンした人をマイナス26点にするというルールもあります。

 シュート・ザ・ムーンをしたプレイヤーが、自分の罰点をマイナス26点とするか、他のプレイヤー全員が26点の罰点にするかを選ぶことができるというルールもあります。

 全トリック取った場合、シュート・ザ・サン(Shooting the Sun)といって、マイナス52点とすることもあります。

 累計点が100点ちょうどになったら、50点に減るというルールもあります。また、0点に減るというルールもあります。

 累計点が50点ちょうどになったら、0点に減るというルールもあります。

 累計点が104点または126点ちょうどになったら、0点に減るというルールもあります。

 1つのディールで1トリックも取らなかったプレイヤーはマイナス5点とするルールもあります。逆に50点の罰点とするルールもあります。

 5ディールプレイして累計点がちょうど69点になったら、そのプレイヤーの勝ちでゲームが終了するというルールもあります。

注6

 誰かが100点を超えたとき、最低点が同点ならば、もう1ディール行うというルールもあります。