トップに戻る

ルージング・ローダム(Losing Lodam/Loosing Lodum)

2024/8/3 赤桐

イギリスで16世紀から17世紀ごろにプレイされていたゲームで、ハートなどの祖先になります。 できるだけカード(点数)を取らないようにするトリックテイキングゲームです。

現在のカードゲームにないような特徴を持ったゲームです。


プレイヤー

3人~10人。

カード

普通の52枚のトランプを使用します。ジョーカーは使いません。

各スートのカードの強さの順位は強いものから順に次のようになります。

10

各カードには次のような点数があります。

カード 点数
11点
10 10点
3点
2点
1点

これ以外のカードは0点です。 全部で108点になります。

点数のあるカード(10)は「ローダー(loader)」と呼ばれます。

ライフ

ゲームの前に各プレイヤーの3個のカウンターを持ちます。 これが各プレイヤーの「ライフ」になります。

ディール

最初のディーラー任意の方法で決めます。次回からは、ディーラーは時計回りに交代します。

ディーラーはシャッフルしてから、右隣のプレイヤーがカットします。

ディーラーは、左隣のプレイヤーから時計回りに、1枚ずつカードを配ります。

ディーラーは全部のカードをほぼ配りきりますが、最小限の配り残りもあるようにします。 つまり、次のようになります。

人数 手札の枚数 残り枚数
3 17 1
4 12 4
5 10 2
6 8 4
7 7 3
8 6 4
9 5 7
10 5 2

カードの交換

各プレイヤーは、プレイの前に、他のどのプレイヤーとでも、次のようなカードを交換することができます。

  1. または10を他のプレイヤーの他のスートのまたは10と交換。「カードを交換してください(“A card for a card?”)」と宣言し、他の誰でもそれに応じることができます。
  2. を他のプレイヤーの他のスートのと交換。「絵札を交換してください(“A coat for a coat?”)」と宣言し、他の誰でもそれに応じることができます。

交換するカードは他のプレイヤーには見せないようにして2人で交換します。 交換するカードは宣言した種類のカードでなければなりませんが、その種類のカードであればどれでもかまいません。 交換したカードが同じスートだった場合は交換は成立せず、カードを戻します。

プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリード]を行います。

通常のトリックテイキングゲームのルールに従ってプレイします。 つまり:

  1. リードされたスートのカードがあれば、そのスートを出します。
  2. なければ、どのカードを出してもかまいません。
  3. 切札が出ている場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます(トリックを取ります)。
  4. そうでなければ、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。
  5. 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

プレイを始めるときには切札はありません。 誰かがリードされたスートを持っていなくて、他のスートのカードを出した時(出したあとで)、 配り残りのカードの1番上のカードが表向きにされ、そのトリックから、そのカードのスートが切札になります。

ライフを減らす

プレイで誰かがトリックを取ってそのプレイヤーの取ったカードの点数が31点かそれ以上になったら、そのプレイヤーは31点以上になったことを宣言しなければなりません。 そのプレイヤーはライフを1つ減らし、プレイはそこで終了します。

ただし、そのプレイヤーは、他のプレイヤーが既に先に31点以上になっていたと考えたら、そのプレイヤーを名指し(チャレンジ=Challenge)することができます。 チャレンジされたプレイヤーは自分の取ったカードを数え、もし31点以上ならチャレンジされたプレイヤーがライフを1つ減らします。

プレイが終了するまで誰も31点以上になったことを宣言しなければ、プレイが終わった時に全員がカードの点数を合計し、最も合計点の高いプレイヤーがライフを1つ減らします。 最高点で同点が2人以上いたら、その全員がライフを1つ減らします。

ゲーム

ライフがなくなったプレイヤーは、プレイから抜けます。 ただし、ライフがなくなったプレイヤーが次のディールの番だったときは、そのプレイヤーはディーラーになりディールだけを行います。

1人以外の全員のライフがなくなったら、ライフのあるプレイヤーの勝ちで、ゲームは終わります。

2人以上残っていたら、次のディールは、その人数に応じた枚数を配ってプレイを行います。 (2人のときは25枚ずつ配ることになります)。


参考資料

  1. “A Volume of Plaies” by Francis Willughby (Francis Willughby’s Book of Games,2003として再出版)
  2. “Historic Card Games” by David Parlett;
  3. Pagat.com
  4. 英語版Wikipedia

このゲームのルールは1のWillughby氏の記述だけしか見つかっていないようです。 2,3,4はすべてこの資料の解釈あるいはこの資料に基づくルール再構築になります。

注1

David Parlett氏の記述では、トリックのプレイを最後までやってから、31点以上のプレイヤーのライフが1つ減ると書いているようですが、それではチャレンジの意味がなくなるので、本文のようにしました。 (参考資料3,4の記述と同じです)。

注2

David Parlett氏の記述では、カードの強さの順序は10…となっていましたが、 Willughby氏の記述にはカードの強さの記述が全くなく、が危険なカードだと考えているような記述もあったので、通常通りの10…の順序としておきました。 (参考資料3,4の記述と同じです)。

10の場合、は他のスートからの捨て札が無ければを含む最大6点を取得するだけなので、それほど危険なカードではありません。)

注3

Willughby氏の本来のルールでは、配り残りのカードを切札スートを示すために表向きにしたら、すぐに裏向きにします。 これは、切札スートを忘れるというミスを誘発するためということでした。

リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーが、切札が出ているのに気が付かず、自分が勝ったと思ってトリックを取ろうとした場合、 だれも指摘しなければ、そのプレイヤーがトリックを取ることになります。 これをスワロー(Swallow)と言います。

トリックを取りたくて、意図的にスワローを行うことも可能です(他のプレイヤーが指摘しない場合)。

複雑になりすぎるので、本文には入れませんでした。

注4

Willughby氏の記述に無いようなルールは一般的なものを書いておきました。

配る枚数もWillughby氏の記述にははっきり書いていませんでしたが、本文のもので問題ないと思います。 (Pagat.comでは3人プレイの場合は16枚ずつ配って4枚残すと書いていましたが)。

カードの交換は、Willughby氏の記述には制限が書いていなかったので、プレイが始まってからでも可能だったのかもしれませんが、複雑になるのでプレイ前までとしました。

「ライフがなくなったプレイヤーが次のディールの番だったときは、そのプレイヤーはディーラーになりディールだけを行います」というルールは、 Pagat.comで付け加えたルールを採用しました。 ライフがなくなったプレイヤーの左隣のプレイヤーがディーラーになると、次に来るはずだったそのプレイヤーの最初のリードの機会が失われてしまうので、そうならないようにする目的です。


2024年8月3日、なかよし村でプレイしました。

点数をできるだけ取らないトリックテイキングゲームですが、かなりユニークなゲームです。 非常に面白く遊べましたので、お勧めします。 カード交換も今のボードゲームのようで楽しいです。

このときプレイしたのは、David Parlett氏の記述に基づいていたので、誰かが31点になってもプレイが終わらず、強さも10…の順でしたが、面白さはそれほど変わらないのではと思います。

10人でも少しプレイしましたが、結構遊べました。 草場氏の提案で残り人数が2人になったら終了としましたが、1人になるまでやってみたかった気もしました。