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ミットレール・ヤス(Mittlere Jass)

1998/7/23 赤桐

 スイスでポピュラーなヤスというトリックテイキングゲームの一種です。

 プレイの目的は、プレイで最高の点数を得るか、最低の点数を得ることです。ただし、あまり点数を取りすぎたり、全くトリックを取らなくてもいけません。とても面白いゲームです。

 ルールはJohn McLeod氏のインターネットWWW(http://www.pagat.com/)によりました。


プレイヤー

 3人。

カード

 52枚の普通のトランプからからを除いた36枚のカードを使います。

 正式には、スイスの伝統的なカードを使用します。どんぐり、楯、花(薔薇)、ベルの4つのスートがあり、クイーンの代わりにオーバー(Ober)、ジャックの代わりにウンター(Unter)、10の代わりにバナー(Banner)があります。

 切札以外では、カートのランクと点数は次の通りです:

ランク10
点数11432100000

 切札では次のようにランクと点数が変わります。

ランク10
点数2014114310000

ディール

 最初のディーラー任意の方法で決めます。次回からは反時計回りに交替します。

 ディーラーは、右隣のプレイヤーから反時計回りの順に3枚ずつまとめてカードを配り、全部のカードを配ってしまいます。各プレイヤーの手札は12枚になります。

 <プレイ>

 ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードを行い、反時計回りにトリックテイキングのプレイを行います。

 プレイが始まったときには、切札がどのスートなのかは決まっていません。切札が決まる前には、リードされたスートが手札にあれば必ず出さなければなりません。出せないときには、どのカードをだしてもかまいません。このようにしてフォローできないで最初に出されたカードのスートが、そのディールの切札になります(出したそのトリックでも切札として有効です)。

 切札が決まったあとの、フォローの義務は次の通りです:

  1. 切札以外のスートがリードされて、そのスートのカードを持っているとき、そのスートのカードを出しても良いし、切札を出してもかまいません。ただし、そのトリックで既に切札が出ている場合には、その切札より弱い切札を出すことはできません。
  2. 切札以外のスートのリードで、そのスートのカードを持っていない場合には、手札のなかのどのカードを出してもかまいません。
  3. 切札のリードの場合には、切札を持っていれば切札を出します。複数あれば、どの切札を出してもかまいません。切札がなければ、どのカードを出してもかまいません。
  4. ただし、切札がリードされて、切札はジャックしか持っていない場合には、切札ジャックを出しても良いし、他のどのカードを出してもかまいません。

 切札が出ている場合には、最も強い切札を出したプレイヤーがトリックに勝ちます。切札が出ていない場合には、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。勝ったプレイヤーは次のリードを行います。

 最後のトリックに勝ったプレイヤーは、さらに5点をもらえます。

 従って、1つのディールの全点数は157点となります。

 もし最後まですべてのリードがフォローされて、切札が決まらなかった場合には、各スートのが8点となります。やはり全点数は157点です。

得点

 プレイが終わると、得点をつけます。通常は最高と最低の点数のプレイヤーがプラス点で、中間の点数のプレイヤーがマイナス点になるのですが、特殊な場合も含めると次のようなルールになります。番号の小さいルールの方が優先します。

  1. 全トリックを取ったプレイヤーがいたら、そのプレイヤーはプラス2点、他の2人はマイナス1点。
  2. 1回もトリックに勝たなかったプレイヤーがいたら、そのプレイヤーはマイナス2点、他の2人はプラス1点。
  3. 100点以上取ったプレイヤーがいたら、そのプレイヤーはマイナス2点、他の2人はプラス1点。
  4. 2人のプレイヤーが同点ならば、同点のプレイヤーはマイナス1点、残りの1人はプラス2点。
  5. 最も高い点数のプレイヤーと最も低い点数のプレイヤーがプラス1点、中間の点数のプレイヤーはマイナス2点。

 得点のつけ方は、プラス1点につき縦棒1本を記入し、マイナス1点につき丸を1つ記入します。プラスのあとにマイナスを書くときや、マイナスのあとにプラスを書くときには、丸と縦棒を重ねて書いて、0点を表すようにします。

ゲーム

 ゲームの終了条件は特に決められてはいません。


モロトフ・ヤス(Molotow Jass)

 4人で行います。ミッテレール・ヤスの元になったゲームで、ミッテレール・ヤスと同じようにプレイを行います。手札は9枚となります。

 得点のつけ方は次の通りです。番号の小さいルールの方が優先されます。(ミッテレール・ヤスと違って、1トリックも取らないことに対する罰点はありません。)

  1. 157点を取ったプレイヤーがいたら、そのプレイヤーはプラス3点、他のプレイヤーはマイナス1点(全トリック取っていなくてもかまいません)。
  2. 100点以上のプレイヤーがいた場合、そのプレイヤーはマイナス3点、他の3人はプラス1点。
  3. 3人の点数が同じ場合、違った点数のプレイヤーがプラス1点。同点の3人はカードを引いて、一番強いカードのプレイヤーがマイナス1点。
  4. 最も点数の低い2人の点数が同じ場合、この2人の得失点はなく、最も得点の高いプレイヤーがプラス1点、2番目のプレイヤーがマイナス1点。
  5. 最も点数の高い2人の点数が同じ場合、この2人の得失点はなく、3番目のプレイヤーがマイナス1点、最も得点の低いプレイヤーがプラス1点。
  6. 中間の点数の2人が同点の場合、最も高い点数のプレイヤーと最も低い点数のプレイヤーがマイナス1点、中間の点数のプレイヤー2人がプラス1点。
  7. 全員の点数が違う場合、同様に、最も高い点数のプレイヤーと最も低い点数のプレイヤーがマイナス1点、中間の点数のプレイヤー2人がプラス1点。

プラスマイナス・ヤス(Plus-Minus Jass)

 3人または4人で遊びます。プレイの方法はミッテレール・ヤスやモロトフ・ヤスと同じです。

 得点はプラス点だけでマイナス点はつけません。何ディールか行なって、7点に達したプレイヤーがいたら、そのプレイヤーの勝ちでゲーム終了となります。同点の場合にはもう1ディール(ずつ)行います。

 得点方法は次の通りです:

  1. 1人以外の全員が同点の場合、同点でないプレイヤーだけが2点得点します。
  2. それ以外の場合、最も点数の高いプレイヤーと最も点数の低いプレイヤーが1点ずつ得点します。ただし、100点以上取ったプレイヤーがいた場合は、そのプレイヤーは得点せず、最低点の人だけが得点します。

 4人プレイの場合で、最高点が同点で2人いた場合や、最低点が同点で2人いた場合には、その点数は保留になります。その2人のうち、次回からのディールで片方だけが得点したときに、そのプレイヤーがこのときの1点も得ることができます。


 David Parlett氏も、著書"The Penguin Book of Card Games"で、"Middler"という名前でこのゲームを紹介しています。

 本文のルールと次の点で違います。

  1. プレイの規則はハントヤス(Handjass)と同じということになっています。彼の本ではハントヤスの規則は次のようになります。 あるいは、次のようにプレイしても良いとも書いています。
  2. 100点以上を取ったプレイヤーと1トリックも取らなかったプレイヤーがいた場合、これらのプレイヤーはマイナス1点、残りの1人がプラス2点になります。
  3. 4人ゲームもあります(ただしルールはあまり述べられていません)。
  4. 通常12ディールで1ゲームということです。

 また、おそらくParlett氏の考案による、次のようなやり方も記述されています。

 ("The Penguin Book of Card Games"にこのゲームの記述があることを指摘していただいたO氏に感謝いたします。)