1998/3/19 赤桐
ピノクルは米国の国民ゲームとして広く親しまれています。古いゲームですが、現在でもハートやスペードというカードゲームに次ぐ人気を保っています。
ここで紹介するルールは、正確には、シングルデッキ・フォーハンド・パートナーシップ・オークション・ピノクル(Single-deck Four-handed Partnership Auction Pinochle)と呼ぶべきもので、現在米国でもっともポピュラーなピノクルです。その意味はつぎの通りです。
4人。向かい合った2人がパートナーとなります。
各スートの2〜8を除いた24枚のトランプを2組混ぜて使います。ジョーカーは使いません。つまり48枚のカードになります。
カードの強さのランクは(強い)A、10、K、Q、J、9(弱い)の順です。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。次回からは、時計回りに交代します。
ディーラーは3枚ずつまとめて全部のカードを配ります。各プレイヤーの手札は12枚になります。
ディーラーの左隣から時計回りにビッドを行います。
ビッドは、パートナー2人で得点するつもりの点数を宣言します。最低のビッドは15(点)です。今までにビッドしたプレイヤーがいたら、それより高い点数をビッドしなければなりません。ビッドしたくなければパスをします。
パスをしたプレイヤーは、再びビッドをすることはできません。1人を除いて全員がパスをするまで、何順でもビッドは続けられます。
最後にビッドをしたプレイヤーがデクレアラーとなります。
最初の3人が続けてパスをした場合には、ディーラーは必ず15(点)のビッドをしなければなりません。
ビッドが終わると、デクレアラーはまず切札のスートを決めます。
次に、全てのプレイヤーは、自分の手札に次のカードがあると、宣言して ずメルド(手役)の点数を得ることができます。
切札のA、K、Q、J、10があった場合、15点もらえます。ランが2組あった場合には、150点となります(切札のA、K、Q、J、10が2枚ずつあった場合です)。
(ダイアモンドが切札の場合)
切札のKとQがあった場合、4点もらえます。ただし、ランになっている場合には、この点数は数えません。ロイアル・マリッジが2組あった場合、つまり切札のKとQが2枚ずつあった場合には、8点になります。
(ダイアモンドが切札の場合)
切札以外の同じスートのKとQがあった場合、2点もらえます。マリッジが2組あった場合には4点になります。
(スペードが切札でない場合)
各スートのAを持っているとき、10点もらえます。エース・アラウンドが2組あった場合、つまり各スートのAを2枚ずつ持っている場合には、100点となります。
各スートのKを持っているとき、8点もらえます。2組ある場合には、80点となります。
各スートのQを持っているとき、6点もらえます。2組ある場合には、60点となります。
各スートのJを持っているとき、4点もらえます。2組ある場合には、40点となります。
JとQを持っているとき、4点もらえます。2組ある場合、つまりJとQが2枚ずつあるときには、30点もらえます。
切札の9があれば、1点もらえます。2枚あれば、2点です。
(ダイアモンドが切札の場合)
1つのメルドで使ったカードを別の種類のメルドでも使うことは可能です。例えば、切札のKとQが各1枚とそれ以外の各スートのKがある場合、ロイヤル・マリッジとキング・アラウンドのメルドができます。
しかし、切札のKが2枚とQが1枚あっても、ロイヤル・マリッジが2組できるわけではありません。同じ種類のメルドで、同じカード(切札のQ)を2回使うことはできないからです。
また、既に述べたように、ランのメルドで使ったカードをロイヤル・マリッジでも使うことはできません。
なお、各スートのKとQを全部持っているとき、ラウンドハウス(Round House 別名ラウンドロビン Round Robbin)として24点とすることもありますが、これはロイアルマリッジ、マリッジ(3組)、キング・アラウンド、クイーン・アラウンドの点数を加えたものにすぎません。
メルドを宣言するときには、メルドを構成しているカードをすべて表向きにしてテーブルに置き、みんなに見せなければなりません。しかし、プレイが始まる前に手札に戻します。
デクレアラーが最初のリードを行って、トリックテイキングゲームのプレイを行います。プレイの順序は時計回りです。
各スートのカードの強さのランクは:(強)A、10、K、Q、J、9(弱)です。同じカード(同スート同ランクのカード)の場合には、先に出したカードのほうが強くなります。
通常通り、切札が出ていない場合は、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ち、プレイされたカードを取ります。切札が出ている場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。
取ったカードは裏向けにして、各チームごとにまとめて置きます。
勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。どのカードをリードしてもかまいません。
次のことにご注意ください。
各チームはそのチームの取ったカードの点数を数えます。カードの点数は次の通りです:
各A、各10、各K | 1点 |
それ以外のカード | 0点 |
さらに、最後のトリックを取ったチームに1点が与えられます。
プレイによる1ディールの全得点は25点になります。
これにメルドの点数を加えたものが、各チームの得点となります。
ただし、デクレアラーのチームは、この点数(プレイの点数+メルドの点数)がビッドの点数かそれ以上でない場合には、ビッド失敗となり、このディールの得点は、取った点数に関わりなく、メルドの点数の分だけマイナス点となります。
また、あるチームが1トリックも取れなかったときには、それがデクレアラーのチームならば、ビッドが失敗となり、ビッドの点数がマイナス点となります。デクレアラーでない方のチームならば、メルドの点数があっても認められず、そのディールの得点は0点となります。
ディールが終わって得点計算した結果、どちらかのチームの累計点が150点に達していたら、 ゲーム終了です。
両方のチームが150点以上の場合には、どちらが高い得点かにかかわりなく、最後にデクレアラーになったチームが勝ちます。
各A、10、Kの点数を10点とし、メルドの点数もすべて本文の10倍とするやり方もよく行われます。
本来のピノクルは各A:11点、各10:10点、各K:4点、各Q:3点、各J:2点、各9:0点で、やはりメルドは本文の10倍の点数だったのですが、ここで紹介したような4人用ピノクルでこのような点数を採用することはほとんどありません。
中間的な点数方法として、各A、10:10点、各K、Q:5点、それ以外:0点というのもありますが、これも現在使われていないようです。
配るときに1枚ずつ配るという方法もあります。
手札に5枚以上の9のランクのカードがある場合、配り直しにすることができるというルールもあります。この場合、ディーラーは交替しません。
ビッドのあと切札の宣言が終わりメルドの宣言が始まる前に、カードの交換ができるというルールもあります。このルールをレースホース(Racehorse)と呼びます。
デクレアラーのチームは決められた枚数のカード(1枚〜4枚)を手札から交換します。各プレイヤーは相手から渡されるカードを見る前に、自分の手札からカードを相手に渡さなければなりません。
デクレアラーの相手チームも、このように交換できることもあります。
デクレアラーのチームだけが交換できる場合、デクレアラーのパートナーがまずカードをデクレアラーに渡し、デクレアラーはそれを手札に加えたあと、その中からパートナーにカードを渡すこともあります。
エース・アラウンドのことをハンドレッド・エーセズ(Hundred Aces)、キング・アラウンドのことをエイティ・キングズ(Eighty Kings)、クイーン・アラウンドのことをシックスティ・クィーンズ(Sixty Queens)、ジャック・アラウンドのことをフォーティ・ジャックス(Forty Jacks)と呼ぶこともあります。こちらの方が本来の呼び方です。
プレイのとき、切札以外のスートがリードされて、同じスートのカードを持っている場合、今までに出ているカードより強いカードを出さなくてもよいというルールもあります。
これが本来のルールなのですが、現在あまり採用されていないようです。
インターネット http://www.pagat.com/ に紹介されている David Dailey氏のルールは本文のものと次のような点が違います。
1)すべての点数が10倍になっています。
2)ビッドの最低点は250点です。
3)ビッドが終わりトランプが指定された後、プレイの前に、デクレアラーのパートナーがまず4枚のカードをデクレアラーに渡し、デクレアラーはそれを手札に加えたあと、その中からパートナーに4枚のカードを返します。
4)次のメルドが追加されます
ランに切札キングが1枚プラスされたもの (Run with Extra King) |
190点 |
ランに切札クイーンが1枚プラスされたもの (Run with Extra Queen) |
190点 |
ランにロイアルマリッジがプラスされたもの (Run with Extra Marrige) |
230点 |
5)プレイを始める前に、デクレアラーは降参(Throw in the hand)をすることができます。降参したばあい、デクレアラーチームはビッドの点数がマイナス点となり、相手チームはメルドの点数だけを得点します。
6)デクレアラーの相手チームは、1トリックも取らなくても、ディースのメルドの点数だけは得点することができます。
Crさんの4人用ピノクル紹介にも、少し違ったルールが紹介されています。次のような点が違うようです:
また、別のオプショナルルールやバリエーションも紹介されています。
ビッドのときにパートナーどうしが手札の内容を伝えるための取り決めです。Jone Hay氏のルールでアイオワ州ビッディングコンベンション(Iowa State Bidding Conventions)として紹介されているものを紹介します。
メルドの宣言の前に、各チームのパートナーどうしが3枚のカードを交換するというルールに基づいています(カードを渡す前に渡されるカードを見てはいけません)。