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ピッチ(Pitch)

1996/12/17赤桐

 このゲームはオールフォーというイギリスの古いゲームから発展したゲームで、アメリカで普及しています。オークション・ピッチ(Auction Pitch)と呼ばれたり、セットバック(Setback)と呼ばれたりもします。

 ルールを読んだだけではそれほど興味がわかないでしょうが、プレイしてみると意外に面白いゲームです。

 トリックテイキングゲームですが、「リードされたカードのスートフォローできる場合でも切札をだしてもよい」というルールが特徴的です。

 本文では、普通のルールブックに載っているルールを紹介します。シンプルで親しみやすいルールですが、すこし古いルールかもしれません。そのあと、新しいと思われるルールを説明します。


人数

 2人〜7人(通常は3人から5人)。4人がベストです。

カード

 普通の52枚のカードを使用します。

 カードの強さは、次の通りです:

 (強い)10(弱い)

ディール

 最も強いカードをドローした人が最初のディーラーになります。次回からは時計回りの順番に交替します。

 ディーラーは、一度に3枚ずつ2回配ります。1人6枚の手札を持つことになります。

プレイによる点数

 プレイによって、次のような点数を得ることができます。ただし、ビッド(後述)によっては、これをそのまま得点できないこともあります。

ハイ

 プレーに使われた切札のなかで一番強い切札を取ったプレイヤーに1点。

ロー

 プレーに使われた切札のなかで一番弱い切札を取ったプレイイヤーに1点。

ジャック

 切札のジャックを取ったプレイヤーに1点。

ゲーム

 取ったカードの価値の合計が一番高かったプレイヤーに1点。

 カードの価値は次の通りです:

4ポイント
3ポイント
2ポイント
1ポイント
1010ポイント

 切札のジャックがプレーに使われなかったときには、ジャックの得点はありません。また、ゲームのポイントが同点だったときは、ゲームの得点はありません。

ビッド

 ディールが終わったら、ディーラーの左隣の人から時計回りの順に、各プレイヤーが度だけビッドまたはパスを行います。

 ビッドは自分の取れると思う点数にもとづいて、からまでの数を宣言します。ただし、自分より前になされたビッドより大きい数でなければなりません。

 ビッドしたくなければパスといいます。

 最も大きな点数をビッドしたプレイヤーが、ピッチャーと呼ばれことになります。

 全員がパスをした場合には、同じディーラーによる配り直しとなります。

プレー

 プレーはトリックテイキングゲームのルールに従います。

 ピッチャーが最初のリードを行います。最初にリードされたカードのスートが切札となります。

 切札がリードされたときには、切札を持っていれば出さなければなりません。持っていないときには、どのカードを出してもかまいません。

 他のスートがリードされたときには、そのスートのカードを持っている場合には、そのスートのカードを出してもかまいませんし、切札を出してもかまいません。それ以外のスートのカードを出すことはできません。リードされたスートのカードを持っていないときには、どのカードを出してもかまいません。

得点

 ピッチャーは、ビッドした点数以上の得点を取ったときには、取った点数が得点になります。そうでなければ、ビッドした点数がマイナス点となります。

 他のプレーヤーは自分の取った点数がそのまま得点となります。

ゲーム

 得点を累計して、11点を先に取ったプレーヤーが勝ちます。

 同じディールの結果、2人以上が11点以上を取ったら、もしそのなかにピッチャーがいればピッチャーの勝ちになります。そうでなければ、ハイ、ロウ、ジャック、ゲームの順番に点数を計算しなおして、先に11点に達したプレーヤーの勝ちとなります。


注1

 ゲームの目標点数を11点でなく、7点、9点、21点などとすることもあります。

注2

 古いルールでは、ハイとローは、トリックで取ったプレイヤーではなく、それを手札に配られたプレイヤーが得点します(ハイについては、手札にあれば必ず取れるので同じことですが)。

注3

 ビッドの時に、ディーラーだけはそれ以前の一番高いビッドと同じビッドをしてピッチャーになることができる、というルールもあります。


スマッジ

 オプショナルルールです。

 スマッジとは4のビッドをすることですが、この場合を特別扱いいすることがあります。

 スマッジで成功した場合、直ちに 11点に到達したとみなし、ゲームは終了します。ただし、そのプレーヤーの累計の得点がマイナスであった場合には4点を得るだけです。失敗した場合には通常どおり4点を失います。

スマッジのバリエーション

 スマッジは標準的なものでないため、次のような様々なルールがあります。


 以下に述べるのは、John McLeod氏のインターネットWWWに紹介されているBrian Gordon氏のルールです。

 本文のルールとの違いだけを書いておきます。

  1. プレイヤーは4人で、向かい合った2人がパートナーになります。
  2. 得点は個人にではなく、チームにつきます(2人の取ったカードをいっしょにして計算します)。ビッドもチームの点数を基にして行います。
  3. ビッドは1のビッドは不可です。2、3、4のビッドの上に、スマッジのビッドもあります。この場合のスマッジは、4点全部を取るだけでなく、全トリックを取ることです(つまり、全トリックを取り、取ったトリックに切札のジャックが含まれていなければなりません)。
  4. スマッジのビッドで成功したら5点、失敗したらマイナス5点となります。スマッジのビッドをしないで、4点+全トリック取っても、得点は4点です。
  5. ビッドの時、ディーラーだけは、それ以前の最高のビッドと同じビッドをしてもかまいません。例えば、2-パス-3のビッドのあとに、3のビッドをすることができます。これを、スチール(Steal)と呼びます。ディーラーがピッチャーになります。
  6. ビッドの時、ディーラー以外の3人がパスをした場合、ディーラーは2かそれ以上のビッドをしなければなりません。
  7. ゲームの目標点数は21点です。
  8. ピッチャーになった方のチームがビッドに成功したときに、そのチームの累計点が21点かそれ以上になったら、そのチームの勝利でゲームが終了します。(それ以外で21点以上になってもゲームは終了しません。また、必ずしも点数の高いチームが勝つとは限りません。)

 なお、このルールとバリエーションおよび他のルールは次のインターネットのサイトに紹介されています。  

  http://www.pagat.com/allfours/pitch.html
  http://www.fas.harvard.edu/~shankar/setback/(2000年12月23日にはつながりませんでした)