2009/11/7
赤桐裕二
ハンガリアン・タロックのやイルストラールト・タロックをさらに改良して、1985年ごろGarots Zolitán氏によってトーナメント用としてつくられたゲームです。ハンガリーではある程度普及しているようです。
ハンガリアン・タロックなどに比べると、ビッド、カードの交換、パートナーの指名などが省かれていますが、ボーナス宣言の種類が大幅に増えています。また、悪い手にはその代わりの点数がつくなど、運よりも技術によってプレイが楽しめるようになっています。
ルールはMichael Dummett氏とJohn McLeod氏の共著による"A History of Games Played with the Tarot Pack, volume 2", 2004 とPhilebus氏の"Introducing the Card Games for Tarot",2009によります。
4人。パートナー戦です。パートナーは隣り合って座ります。パートナーのうち、右に座るプレイヤーをスターター(inditó インディトー)、 左に座るプレイヤーをキャッチャー(elfogó エルフォゴー)と呼びます。
タロットカードについては、別項のタロットのカードについてを ごらんください。
ロイヤル・タロックではタロットカードのうち40枚だけを使用します。通常の78枚のカードから不要なカードを除いて用いることができます。
不要なカードは54枚の4つのスートのカードのうち、数札の大部分です。スペードとクラブでは、1から9までの数札を使用しません。またハートとダイヤ モンドでは全ての数札(1から10まで)を使用しません。
使用するカードとその強さは次のようになります。
まず、スペード(pikk ピック)、ハート(kőr ケール)、ダイアモンド(káró カーロー)、クラブ(treff トレッフ)の4つのスートがあります。
黒のスート(スペード、クラブ)では、カードとそのランクは強いものから順に:
キング(király キラーイ)、クイーン(dáma ダーマ)、カバロ(lovas ロバシュ)、ジャック(bubiブビ or botosボトシュ)、10(tízes ティーゼシュ) | |
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赤のスート(ハート、ダイアモンド)では、カードとそのランクは強いものから順に:
キング、ク イーン、カバロ、ジャック | |
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愚者を含む残りの22枚のカードは切札です。このゲームではこの切札をタロックと呼びます。(ゲーム自体もタロックと呼ばれますし、カード全部もタロッ クと呼ばれると思われますが、狭い意味で使われるときには、この22枚だけをタロックと呼ぶわけです。)
愚者のカードをスキーズ(skíz)と 呼びます。このカードが最強であり、タロック21がそれに続き、以下数字の順にタロック1ま で続きます。タロック1をパガート(pagát)と 呼びます。
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スキーズとタロック21の2枚をオナー (honőrökホネーレク)と呼びます。このゲームではパガートはオナーには入りません。
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タロックの1から4までをまとめてマタドール(Matadorok マタドロック)と呼びます。
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マタドールの4枚とキング4枚をまとめてマガシートーク(Magasítók)と呼びます。
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タロック以外のカードをスートカードと呼びます。また、これ以降、「スート」と記述しているときには、タロック以外のスート(スペード、クラブ、ハート、ダイアモンド)のことだと考えてください。
各チームのプレイヤー1人ずつがカードを1枚ドローして、もっとも強いカードを引いたチームのキャッチャーが最初の ディーラーになります。以降のディールでは、各チームのキャッチャーが交代でディーラーになります。スターターは決してディーラーにはなりません。
各ディールで、ディーラーのいるチームはアタッカー(támadók ターマドーク)と呼ばれ、その相手チームはディフェンダー (védék ベーデーク)と呼ばれます。
ディーラーはまずタロック20とタロック19を抜き出して、タロック20を自分の右隣のパートナーに配り、タロック19を自分自身に配ります。次にディーラーはカードをシャッフルして、左隣のプレイヤーにカットしてもらい、右隣のプレイヤーから反時計回りに、2枚ずつまとめて全部の カードを配ってしまいます。ただし、自分とパートナーには、どこかの回で1度、2枚ではなく1枚配るようにします。こうして、全員の手札が10枚になるよ うにします。
配られたら、各プレイヤーは手札を見てタロックが3枚以上あるかどうかチェックします。もし、タロックが2枚またはそれより少ない枚数しかなければ、必ずそれを申し出て見せなければなりません。この場合、プレイは行われず、同じディーラーによって配り直しが行われます。
普通のハンガリアン・タロックや他のほとんどのタロットゲームでは、カードに点数があって、カードを取ってその点数をたくさん得ることで得点になります が、このゲームではそのような得点はありません。
このゲームでは、トリックの勝ち方や、取るカードの種類、あるいは指定のカードで指定のトリックを勝つことにより得点を得るできます。これをボーナス得点(figurák フィブラーク) と呼びます。ボーナス得点には多くの種類がありますが、そのほとんどは、あらかじめボーナス得点を得ることを宣言しておかなければ、得点になりません。これをボーナス宣言と呼びます。
ボーナス宣言を行ったのにそのボーナス得点をプレイで得ることができなかった場合は、その点数が罰点つまりマイナスの得点になります。相手側がこのような状態になると考えた場合、相手側のボーナス宣言に対してコントラを宣言することができます。コントラを行って相手側が失敗した場合、相手側が罰点になるだけでなく、コントラ宣言をした側に得点も与えられます。
ディールのあと直ちに、ディーラーの右隣のプレイヤーから反時計回りに1人ずつ、ボーナス宣言やコントラ宣言を行います。
プレイヤーは自分の番の時に、ボーナス宣言とコントラ 宣言のうち、どれをいくつ宣言してもかまいません。もちろん宣言しなくてもかまいません。だれかが宣言したあと、3人続けて何も宣言しなくなるまで、宣言は何周でも行われます。一度宣言しなかったプレイヤーも再び宣言に加わることができます。(あるいは、最初から4人全員が何も宣言しなければそれで終わりです。)
コントラは、相手チームが宣言したボーナス宣言に対して行われます。どの宣言に対するコントラであるか、明確に言わなければなりません。例えば、「『ピッコロ』に対するコントラ」というように宣言します。
宣言はいくつも行うことができるので、宣言の最後には「以上」(mehet メヘト)と言って、それ以上宣言がないことを表します。全く宣言をしないときは、パス(passz パッス)と言います。
すべての宣言は発言順に書き留めておいたほうがよいでしょう。それをプレイヤーは誰でも宣言の途中やプレイ中に見ることができます。
ボーナス宣言は、自分の手札について宣言する場合(手札宣言)を除き、手札に関係なく行うことができます。例えば、タロック21を取ることのできるカード(スキーズ)を持っていなくても「タロット21の捕獲」の宣言をすることができます。
ボーナス宣言には上位宣言(emelés エメレーシュ)という規則があります。ある種類のボーナス宣言は、他のボーナス宣言の上位宣言になります。つまり、他のボーナス宣言の内容を含み、もっと達成が難しくなった宣言です。
あるボーナス宣言が行われたあと、同じチームでその上位の宣言が行われたら、最初のボーナス宣言は無効になります。最初のボーナス宣言に対してコントラが宣言されていた場合は、そのコントラも無効になります(もちろん上位宣言に対して新たにコントラを宣言することは可能です)。
あるボーナス宣言を行った場合、それの上位の宣言を同じプレイヤーが行うことはできません。しかし、パートナーは行うことができます。パートナーが上位の宣言をしたとき、最初のプレイヤーが、さらにそれの上位の宣言を行うことは可能です。
宣言Bが宣言Aの上位宣言であり、宣言Cが宣言Bの上位宣言であれば、宣言Cは宣言Aの上位宣言にもなります。なお、宣言Aを行っていたチームが、宣言Bを行わないで、宣言Cを行うことも可能です。
下位の宣言を行わないで、いきなり上位の宣言をしてもかまいません。
下記の番以下のボーナスは、トロフィーと呼ばれます。
各チームはトロフィーは1種類しか宣言することはできません。ただし、宣言したトロフィーの上位のトロフィーを宣言することはできます。
点数は0か少ししかありません。おもに自分の手札の情報をパートナーに情報を伝えるために使います。点数がある場合は、宣言すれば必ず得ることができます。
手札宣言に対してコントラを宣言することはできません。
手札の中の1つのスートの枚数を宣言します。たとえば、「スペード3枚」などと言います。枚数は正しい数でなければなりません(手札より多くても少なくてもいけません)。
宣言できるのはそのスートの枚数が2枚以上で、そのスートのカード全部は持っていない場合に限ります。
一度にいくつかのスートの枚数宣言をしてもかまいませんし、別の番のときに別のスートの枚数宣言を行ってもかまいません。
8枚〜10枚のタロックを持っていた場合に、その枚数を宣言します。「タロック8枚」などと言います。枚数は正しい数でなければなりません(手札より多くても少なくてもいけません)。
1枚以上のマタドール(タロック1〜4)を持っている場合に宣言します。単に「マタドール」と言います。枚数や種類を言ってはいけません。
2枚以上のマタドールがあった場合でも、1度しかこの宣言は行うことができません(同じチームの別のプレイヤーはマタドールがあれば宣言できます)。
あるスートの全部のカードが手札にあったときに宣言できます。どのスートなのかは言ってはいけません。
各スートの同じランクのカード4枚が手札にあったときに宣言できます。例えばカバロが4枚あった場合などです。どのランクなのかは言ってはいけません。
点数は少ないですが、より点数の高い宣言をするための情報を伝達することができる宣言です。
タロック18を含むトリックに勝つという宣言です。
タロック19を含むトリックに勝つという宣言です。
タロック20を含むトリックに勝つという宣言です。
オナー(スキーズまたはタロック21)を含むトリックに勝つという宣言です。
オナー2枚(スキーズとタロック21)を含むトリックに勝つという宣言です。「オナー」の上位宣言です。
オナー2枚(スキーズとタロック21)とパガートを含むトリックに勝つという宣言です。「2枚オナー」の上位宣言です。
何トリック獲得するかを宣言します。
大きいトリック数の宣言は、より小さいトリック数の宣言の上位宣言になります。
5トリックの勝ちを宣言。
6トリックの勝ちを宣言。
7トリックの勝ちを宣言。
8トリックの勝ちを宣言。
9トリックの勝ちを宣言。
全トリックの勝ちを宣言。
最初から何連勝かする宣言ですが、宣言する連勝の最後のトリックは、特定のカードで勝たなければなりません。
最後に勝つことを宣言されたカード(タロック18〜21、スキーズ)は、宣言したトリックまで出すことはできません。また、宣言したトリックでは必ず出さなければなりません。ただし、宣言したトリックまでに1つでもトリックに負けたら、その次のトリックからはこの制限はなくなります。
これらの宣言はどれも別の宣言の上位宣言ではありません。いくつでも、どの順序でも宣言することができます。
最初の3トリックを勝ち、3トリック目はタロック18で勝つ宣言です。
最初の4トリックを勝ち、4トリック目はタロック19で勝つ宣言です。
最初の5トリックを勝ち、5トリック目はタロック20で勝つ宣言です。
最初の6トリックを勝ち、6トリック目はタロック21で勝つ宣言です。
最初の7トリックを勝ち、7トリック目はスキーズで勝つ宣言です。
指定のカードで特定のトリックに勝つという宣言です。そのカードをそのトリックで出して、そのカードで勝たなければ失敗となります。パートナーがそのカードを取ったとしても、失敗です。
ある終盤宣言があった場合、その指定のカードをより早いトリックで使用する宣言は、その宣言の上位宣言となります。
最後のトリックを指定のマガシートーク(キングかマタドール)で勝つという宣言です。例えば「スペードキングのウルティモー」などと宣言します。
9トリック目を指定のマガシートークで勝つという宣言です。
8トリック目を指定のマガシートークで勝つという宣言です。
7トリック目を指定のマガシートークで勝つという宣言です。
6トリック目を指定のマガシートークで勝つという宣言です。
指定のカードで1トリック目または2トリック目に勝つという宣言です。この宣言のある場合、宣言したプレイヤーのパートナーは、そのトリックにタロックをリードすることはできません(指定のカードがタロックで、それを自分がリードする場合を除く)。指定のカードがキングの場合は、宣言したチームは、可能であればそのスートをリードしなければなりません。
1つのチームが序盤スラムの2つの宣言を両方行うことはできません(「テメスバールの雉」という上位宣言を行うことはできます)。
最初のトリックを指定のマガシートーク(キングかマタドール)で勝つという宣言です。
2トリック目を指定のマガシートークで勝つという宣言です。
あるスートを全部取るという宣言です。
指定のスートのカードをすべて取るという宣言です。例えば「ダイアモンドの集団」というように宣言します。
赤いスート(ダイアモンドとハート)のカードをすべて取るという宣言です。
指定の2つのスートのカードをすべて取るという宣言です。1つのスートは赤でもう1つのスートは黒でなければなりません。例えば「ハートとクラブの赤と黒」というように宣言します。
黒いスート(スペードとクラブ)のカードをすべて取るという宣言です。
スートカード(タロック以外のカード)をすべて取るという宣言です。
1つのチームが、「艦隊」「赤と黒」「無敵艦隊」のうち2つ以上を宣言することはできません。
「艦隊」「赤と黒」「無敵艦隊」は「集団」の上位宣言です(同じスートを含む時)。「ローマ軍団」は他の宣言すべての上位宣言です。
このグループの宣言は、他のグループの宣言とは独立して宣言や得点が行われます。例えば「ボラート」は「ローマ軍団」の上位宣言にはなりません。
キング以外のスートカード(タロックでないカード)でトリックに勝つという宣言です。どのカードかは指定しません。いつ勝ってもかまいません。
アマゾンの宣言とスート宣言を同じチームの別のプレイヤーが行い、両方が成功した場合、アマゾンで勝ったスートがスート宣言のスートと同じならば、アマゾンの点数は計算されません。
相手チームの出したパガートを獲得するという宣言です。
1トリック目と2トリック目を指定のマガシートーク(キングかマタドール)で勝つという宣言です。それぞれのトリックについて、どのカードで勝つのかを指定しなければなりません。例えば、「テメスバールの雉。1トリック目をスペードのキングで、2トリック目をタロック3で勝ちます。」などと宣言します。
「雉」および「鷹」の上位宣言になります。
1トリック目と3トリック目を指定のマガシートークで勝つという宣言です。それぞれのトリックについて、どのカードで勝つのかを指定しなければなりません。
「雉」の上位宣言になります。
2トリック目と4トリック目を指定のマガシートークで勝つという宣言です。それぞれのトリックについて、どのカードで勝つのかを指定しなければなりません。
「鷹」の上位宣言になります。
最後の2トリックを指定しないマタドールで勝つという宣言です。
「ウルティモー」または「ウフ」をマタドールで宣言していた場合は、その上位宣言になります。その場合には、指定されていたマタドールのカードは、可能ならば必ず宣言されていたトリックに出すようにしなければなりません。
最後の2トリックを指定しないキングで勝つという宣言です。
「ウルティモー」または「ウフ」をキングで宣言していた場合は、その上位宣言になります。その場合には、指定されていたキングのカードは、可能ならば必ず宣言されていたトリックに出すようにしなければなりません。
赤いスート(ハートかダイアモンド)のクイーン、カバロ、ジャックのどれかでトリックに勝つという宣言です。どのカードかは指定しません。いつ勝ってもかまいません。
「アマゾン」の上位宣言になります。
黒いスート(スペードかクラブ)のカバロかジャックでトリックに勝つという宣言です。どのカードかは指定しません。いつ勝ってもかまいません。
「アマゾン」の上位宣言になります。
最後のトリックを黒の10のカード(スペード10またはクラブ10)で勝つという宣言です。どちらの10のカードで勝つかは指定しておかなければなりません。例えば「クラブ10のジン」というように宣言します。
「アマゾン」の上位宣言になります。
最後の2トリックを指定のスートのキングとクイーンで勝つという宣言です。例えば「スペードのマリッジ」と宣言します。
「アマゾン」、キングの「ウルティモー」、キングの「ウフ」、「スパディール」(赤のスートのマリッジの場合)、の上位宣言になります。
相手側の出したタロック21をスキーズで取るという宣言です。
最初の3トリックをマガシートークで勝つという宣言です。マガシートークのカードと出す順序は指定しておかなければなりません。例えば「はげたか。7トリック目をハートのキングで取り、9トリック目をタロック4で取り、最後のトリックをパガートで取ります」などと宣言します。
「トランシルバニアの雉」および「テメスバールの雉」の上位宣言になります。
最後の3トリックをスートカード(タロック以外のカード)で勝つという宣言です。どのカードで勝つかは指定しません。
「ジン」「スフィンクス(後述)」「マリッジ」「フェニックス」の上位宣言になります。
全トリックを取り、3番目から7番目のトリックまでを、タロックの18、19、20、21、スキーズで(この順序で)取るという宣言です。
「ボラート」およびすべての終盤宣言の上位宣言になります。
相手チームの出したタロック21とパガートの両方を獲得するという宣言です。
「タロック21の捕獲」および「パガートの捕獲」の上位宣言になります。
相手チームの出したタロック21を取り、さらに、キング以外のスートカードで別のトリックに勝つという宣言です
「タロック21の捕獲」および「アマゾン」の上位宣言になります。
最後の3トリックをマタドールで取るという宣言です。どのマタドールかは指定しません。
「スニーカー」「ウルティモー」「ウフ」「飛龍」の上位宣言になります。
もし、以前にマタドールでウルティモーやウフや飛龍を宣言していたら、指定のカードを特定のトリックで出さなければならない義務は継続します。
最後の3トリックを同じスートのカードで勝つという宣言です。どのスートかは指定しなければなりません。例えば「クラブのファミリー」などと宣言します。
「スート」の上位宣言になります。
最後の3トリックをすべてキングで勝つという宣言です。どのキングかは指定しません。
「フェニックス」および「スート」の上位宣言になります。
1つのトリックを赤いスートのクイーン、カバロ、ジャックのどれかで勝ち、別の1つのトリックを黒いスートのクイーン、カバロ、ジャックのどれかで勝つという宣言です。トリックやカードは指定しません。
「スパディール」「マニール」「アマゾン」の上位宣言になります。
全トリックを取り、連続する4トリックをスートカード(タロット以外のカード)で勝つという宣言です。
「スート」「はげたか」「グリフィン」「トロル」「ベツレヘム」の上位宣言になります。
全トリックを取り、連続する4トリックをマタドールで勝つという宣言です。
「はげたか」「グリフィン」「トロル」「トロイカ」の上位宣言になります。
全トリックを取り、3番目から7番目のトリックまでを、タロックの18、19、20、21、スキーズで(この順序で)取り、最後の3トリックを指定しないスートカード(タロック以外のカード)で取るという宣言です。
「スカラ」および「スート」の上位宣言になります。
全トリックを取り、最初の3トリックを指定のマガシートークで取り、4番目から7番目のトリックまでを、タロックの19、20、21、スキーズで(この順序で)取るという宣言です。
「はげたか」「シティー」「センター」「小鳥」「大鳥」の上位宣言になります。
全トリックを取り、3番目から7番目のトリックまでを、タロックの18、19、20、21、スキーズで(この順序で)取り、最後の3トリックを指定しないマタドールで取るという宣言です。
「スカラ」および「トロイカ」の上位宣言になります。
全トリックを取り、3番目から7番目のトリックまでを、タロックの18、19、20、21、スキーズで(この順序で)取り、最後の3トリックをタロック以外の指定した1つのスートのカードで取るという宣言です(カードは指定しません)。
「スペクトラム」および「ファミリー」の上位宣言になります。
全トリックを取り、3番目から7番目のトリックまでを、タロックの18、19、20、21、スキーズで(この順序で)取り、最後の3トリックを指定しないキングで取るという宣言です。
「スペクトラム」および「ベツレヘム」の上位宣言になります。
全トリックを取り、相手側のタロック21とパガートを取り、1トリックをキング以外の指定しないスートカードで取るという宣言です。
「苦難」および「ケンタウロス」の上位宣言になります。
全トリックを取り、相手側のタロック21を取り、最後の3トリックは指定したマタドールで取るという宣言です。
「タロック21の捕獲」「ボラート」「トロイカ」の上位宣言になります。
全トリックを取り、相手側のタロック21を取り、最後の3トリックは指定しないスートカードで取るという宣言です。
「タロック21の捕獲」「ボラート」「スート」の上位宣言になります。
全トリックを取り、相手側のタロック21とパガートを取り、最後の3トリックはパガート以外のマタドールで取るという宣言です。最後の3トリックは、どのマタドールの順で勝ってもかまいませんが、パートナーの1人が2トリック、もう1人が1トリック取るようにしなければなりません。
「大勝利」および「苦難」の上位宣言になります。
宣言が済んだらプレイを始めます。プレイはト リックテイキングゲームのルールに従いますが、次のように行います。
このゲームではプレイは常に反時計回りに行います。
まず、ディーラーの右隣のプレイヤー(ディーラーのチームのスターター)が自由に手札の中の1枚のカードを選んでテーブルに出します(これをリードす ると呼びます)。
つぎにその右隣のプレイヤーが手札からカードを1枚出します。
リードされたカードがタロックであった場合は:
リードされたカードがそれ以外のスート(マーク)のカードであった場合には:
3人目のプレイヤーと4人目のプレイヤーも、リードされたカード(最初に出されたカード)に従って同じようにプレイします。
こうして4枚のカードが出されると1ト リック終わったことになります。出されたカードの中にタロックがある場合には、最も強いタロックを出したプレイヤーがこのトリックに 勝ちます。タロックがない場合には、リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーがこのトリックに勝ちます。
トリックに勝ったら、勝ったプレイヤーが出された4枚のカードを回収して裏向きに置きます。同じチームが取ったカードは同じところに置いてかまいません。
トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行い(手札から自由に1枚を出し)、同様にプレイが続きます。
10トリックのプレイを行って、手札を使いきったらプレイは終了です。
指定のトリックを指定のカードで勝つという内容を含むボーナス宣言を行っていた場合、宣言されたカードは、宣言したトリックまで出すことはできません。また、宣言したトリックでは必ず出さなければなりません。
自分のチームが2つ以上のボーナス宣言をしていて、どれか1枚をこの制限に反してプレイしなければならないときには、先に宣言したボーナス宣言のほうを尊重するという規則があるので、後で宣言したカードを制限に反してプレイしなければなりません。
次のボーナス得点はボーナス宣言を行わないで得ることができます。
1つのチームが最初から5トリックを続けて取った場合。「ゲーム」「6勝」「7勝」「8勝」「9勝」「ボラート」の宣言を行っていないとき。
相手チームが出したパガート(タロック1)を取った場合。相手のパガートを取ることを必要とするボーナス宣言をしていないとき。
1つのチームが4枚のキング全部を取った場合。「ボラート」や「軍団」の宣言をしていても得ることができますが、ボラートを含むトロフィー(42番以降の宣言)をしていたらもらえません。
相手側の出したタロック21をスキーズで取った場合。宣言していないとき。
プレイが終了すると、各チームはそれぞれ得点を計算します。
運の要素を少なくするため、ディールごとに、各チームには、チームの2人の手札を合わせたものに応じて次の基本点が与えられます。(下記の1、2、3、4を加算します)。
ただし、基本点の最高額は、ディフェンダーは90点、アタッカーは100点であり、上記を加算してそれより多くの点数になっても、この点数となります。
宣言が成功または失敗したときには、宣言を行ったチームのプラスまたはマイナスの得点になります。
コントラがあった場合も、ボーナス宣言を行ったチームは、コントラがないときと同じようにその宣言の得点を計算します。さらに、コントラ宣言をしたほうのチームは、ボーナス宣言が成功したらマイナスの点数が、失敗したらプラスの点数が、自分のチームの得点となります。点数はボーナスの点数と同じですが、1つのコントラで得られる点数はプラス20点に制限されます(マイナスは無制限)。
1ディールで得ることのできる得点は基本点を含めて100点までです(それを越した分は破棄されます)。ただし、中トロフィー以上の宣言を成功した場合には、そのトロフィーの点数までは得点することができます(他に失敗していた宣言があれば、その点数より少なくなることもあります)。
1ディールでの最低点数は0点です。点数計算でマイナスになっても、0点となります。
ゲームの終了条件は特に定められていないようです。
ビッドのときにパートナーの間で決めたコンベンション(手札の情報を伝えるためのビッドの約束ごと)を使うことができます。
コンベンションは、ビッド自体で行わなければならず、表情や身振りや言い回しで行ってはいけません。例えば「タロック8枚」と「タロックが8枚」というのを区別して情報を伝えてはなりません。複数の宣言を行うときに、その宣言の順序で情報を伝えることはかまいません。
コンベンションには決まった方法はなく、パートナーの間で決めておけばよいです。また、相手チームにコンベンションの方法を伝える必要はありません。
"A History of Games Played with the Tarot Pack, volume 2"に載っているコンベンションの例は次のようなものです。
1.プレイヤーの最初の宣言の番のときに「オナー」を宣言したら、スキーズを持っていることを示します。タロック21を持っているがスキーズを持っていないプレイヤーは2番目の番のときに「オナー」を宣言します。
2.アタッカーのプレイヤーは、最初の宣言の番のとき、キングを持っていたらそのスートの「スート枚数」を宣言します(可能なら)。キングを持っていないスートは2番目の番のときに宣言します。(ディフェンダーは、相手の「雉」の宣言を助けないために、スート宣言は行わないほうがよい。)
3.1度の番のときに複数の宣言をする場合、番号の小さい宣言(ルール説明で前のほうに書いてある宣言)を先に言って、番号の大きい宣言を後に言った場合は、あるスートのカードが1枚以上あることを示し。逆に、番号の大きい宣言を先に言って、小さい宣言を後に言った場合は、スートがボイドである(1枚もない)ことを表します。
どのスートについてそれを適用するかを決めるため、スートの順序を予め打合せしておきます。例えば、スペード、クラブ、ハート、ダイヤモンドの順、などとします。この順序の最初のスートから、このコンベンションを適用していきます。ただし、既にスートの情報がわかっているスートは飛ばします。
例えば、「マタドール、クラブ2枚、タロック20」という宣言なら、大→小→大というようになりますから、最初の大→小で最初のスートつまりスペードが1枚以上あることを示し、次の小→大で次のスートつまりクラブを飛ばしてハートが1枚もないことを示します。
4.上記の宣言の順序の方法を拡張すると、スートの情報を全部伝えた後は、特定のシングルトン(そのスートのカードが1枚だけしかないこと)のキングを示したり、タロックの枚数を示したり、特定のタロックを持っていることを示したりすることができます。
また、「タロック18」「タロック19」「タロック20」などを、何回目の宣言のときに言うかなどによって、このような情報を伝えることもできます。
ルールは主に"A History of Games Played with the Tarot Pack, volume 2"に基づきましたが、点数については"Introducing the Card Games for Tarot"のものを用いています。ハンガリーのロイヤル・タロックのホームページ(http://www.royaltarokk.hu/)がこの点数だったためです(ハンガリー語はあまり分からないので内容は不明ですが)。
次の項目で、点数の違いがあります。"A History of Games Played with the Tarot Pack, volume 2"の点数は次の通りです:
ボーナス点数
アタッカーのチームの基本点は、次のようになります。
チームに配られたタロックの数 | 6枚〜10枚 | 11枚〜12枚 | 13枚〜16枚 |
スキーズかタロック21が配られた場合 | 60点 | 50点 | 40点 |
スキーズもタロック21も配られない場合 | 80点 | 70点 | 60点 |
ディフェンダーのチームが与えられる基本点は、常に60点です。
ボーナス宣言とその上位宣言との関係を図にしました(PDFファイル)。ロイヤルタロック宣言相関表です。
2009年11月7日に、なかよし村でプレイしました。
宣言の種類がとにかく多くて、説明するのに時間がかかりました。ただ、それ以外のルールは、他のハンガリアン・タロックの系統のゲームに比べると、かなり簡単になっています。
最初なので、どのテーブルもあまり大きな宣言をしてプレイすることは少なかったようですが、それでも結構面白くプレイできました。基本点のルールが、かなりゲームのバランスを良くしています。
手が良いときには、宣言とプレイをかなり積極的にしないと、点数で勝てないことがあります。