2009/4/28 赤桐
タロットあるいはタロットカードとは、15世紀にイタリアで生まれたカードで、トリックテイキングゲームをするために作られています。
英語ではタロー(tarot)、フランス語ではタロ(tarot)、イタリア語ではタロッキ(tarocchi)、ドイツ語ではタロック(Tarock)と呼びます。日本でのタロットという呼び名はおそらく英語のtarotの誤読でしょうが、広く使われているので、ここでもそのまま使います。
タロットは普通のトランプに似たカード56枚と、切札専用のカード21枚、および特別のカード1枚から構成されます。
普通のトランプに似た56枚のカードは、やはりスペード、ハート、クラブ、ダイヤモンドの4つのスートからなります。しかし、各スートは絵札が1枚増えて14枚となっています。
各スートのカードを強い順に列挙すると、黒いスートつまりスペードとクラブでは:
キング、クイーン、カバロ、ジャック、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1です。
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キング、クイーン、ジャックは通常のトランプと変わりません。カバロとは騎士のカードで普通馬に乗った男性の絵が描かれています。クイーンとジャックの間の強さを持ちます。記号はCです。
数札はトランプと変わりませんが、1は普通はA(エース)でなく単に1と記され、強さも特に強いわけではありません。
赤いスートつまりハートとダイヤモンドでもカードの種類は変わりませんが、数札では数字の小さいものほど強くなります。つまり:
キング、クイーン、カバロ、ジャック、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10です。
これは、奇妙なだけで全く無意味なルールなのですが、ほとんどすべてのタロットゲームがこれに従います。
ところで、イタリアのタロットや占い用として発売されているタロットなどでは、スペードやハートなどのスートの代りにイタリア系の4つのスートが使われます。普通の4つのスートとの対応で示しておくと:
スペード | ソード(スパーダ、刀) |
クラブ | バトン(バストーネ、棒) |
ハート | カップ(コッパ、盃) |
ダイヤモンド | コイン(デナーロ、硬貨) |
また、フランスのカードでは次のような記号が使われます:
K(キング)の代りに | R(ロワ) |
Q(クイーン)の代りに | D(ダム) |
J(ジャック)の代りに | V(バレ) |
この21枚のカードは切札専用のカードとして作られています。
カードには1から21までの数字がアラビア数字またはローマ数字で書かれています。21が一番強い切札で、数字が小さくなるにつれ弱くなり、1が一番弱い切札となります。
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カードには色々な絵が描かれていますが、ゲームと直接には関係ありません。
数字やスートのマークが書かれていなくて、旅人、道化師、あるいは音楽家などが描かれているカードです。0という数字や星マークが書かれていることもあります。
このカードは国によりさまざまな呼び方をしますが、一般名称としては便宜上、タロット占いの言葉を借りて、「愚者」のカードと呼ぶことにしたいと思います。
愚者のカードは本来は変わった役割をするカードです(いつでも出せるが、常に負ける)。しかし、オーストリアやハンガリーの新しいタロットゲームでは、切札の一員となっています。しかも、最強の切札です。
タロックカードの図版は「グランペール・タロット」(株式会社グランペール)のものをご厚意により使わせていただいています。