1997/8/5 赤桐
単に「ソロ(Solo)」とも呼ばれます。おもにイギリスでプレイされています。
トリックテイキングゲームですが、その中で「ソロゲーム」と呼ばれる種類のものです。ソロホイストは現在プレイされているソロゲームの代表的なものです。
愛好家によれば、コントラクトブリッジにも劣らない魅力があるともいわれ、不当に低い評価しか受けていないとも言う声もあります。確かに、プレイしてみれば面白いゲームです。
基本的には個人戦のゲームなので、パートナー戦を好まない人にもよいかもしれません。
ソロホイストのルールには標準と呼べるものはなく、細かいルールはプレイする人ごとに違っているようですが、ここでは主にソロホイストの熱烈な支持者であるHubert Phillips氏の著書"The Pan Book of Card Games" に従います。
このゲームはトリックをたくさん取ることを目的とするトリックテイキングゲームです。プレーの前にはビッドを行ない、最も強いビッドをしたプレイヤーが他の全員を相手に戦います。ただし、ビッドによっては1トリックも取らないことを目的とすることもあります。また、一時的にパートナーを組むこともあります。
4人
通常の52枚のカード。順位は(強)A、K、Q、J、10、9、8、7、6、5、4、3、2(弱)
カードをドローして最も低いカードを引いた人がディーラーになります。(この場合のみ、Aが一番弱くなります。ブリッジと同様にスートのランクを強い順にスペード、ハート、ダイヤモンド、クラブの順と決めておけば便利です。)
次のディールからはディーラーは順番に左隣に移ります。
ディーラーの左隣から各プレイヤーに3枚ずつ4回配りその後1枚ずつ配ります。各プレイヤーの手札は13枚になります。
ディーラー自身に配る一番最後のカードは表向きにします。これが切札候補カードになります。
ディーラーの左隣のプレイヤーからビッドを行ないます。
ビッドは何巡でも行われますが、誰かがビッドを始めた後は、今までのビッドより高位のビッドしかできません。
ビッドをしたくなければパスをしますが、一度パスをすればそれ以後はビッドに参加できません。
最後にビッドしたプレイヤーがビッダーになります。
ビッドの種類は低いものから順に次の通りです。
プロポーズ(またはプロップ)は他のプレイヤーの誰かと共同で8トリック以上取るという宣言です。切札は切札候補カードのスートになります。
プロポーズの宣言の後にビッドするプレイヤーはアクセプト(またはコップ)と言って、プロポーズしたプレイヤーのパートナーになることを宣言できます。(もちろん他のビッドをしてもかまいません)。
パスをしているプレイヤーはアクセプトもできませんが、例外として、ディーラーの左隣のプレイヤーはパスの後でもアクセプトだけはできます。
プロポーズの後他の全員がパスをした場合は、プロポーズしたプレイヤーは他のビッドを行なうことができます。
切札候補カードのスートを切札にして、5トリック以上取るという宣言です。
ノートランプで1トリックも取らないという宣言です。
9トリック以上取るという宣言です。切札のスートはビッダーが自由に決めることができます。(切札スートの指定はビッドが終わってから行ないます。)
9トリック以上取るという宣言です。ただし、切札指定カードのスートを切札にします。このビッドはアバンダンスのビッドに対するオーバーコールとしてだけ行なえます。
ノートランプで1トリックも取らないという宣言です。1トリック目のプレイが終わった後に手札全部をテーブルに表向きに置き、他のプレイヤーに見せながらプレイしなければなりません。
ノートランプで13トリック全部取るという宣言です。ただし、最初のトリックのリードは自分でできます。
全員がパスをしたり、プロポーズに対して誰もアクセプトせず他のビッドも行なわれなかった場合、そのディールは流れとなりプレイされません。ディーラーは左隣に移り、新しいディールを始めます。
プレイの前に、ディーラーは切札候補カードを自分の手札の中に入れます。
常にディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードをします。(例外として、アバンダンス・デクラレの場合はビッダーからリードします。)
プレイの仕方はブリッジなどとまったく同じです。つまり:
ソロホイストにおいては各ディールが独立したゲームになっていて、ディールが終わるごとにチップや現金で清算します(もちろん、紙に書いておいてもかまいません)。
各ビッドにより点数がきまっていて、ビッドしたプレイヤーは成功した場合にはその点数を他の3人から受取り、失敗した場合は3人に支払います。プロポーズ&アクセプトの場合はそれぞれのプレイヤーが相手の1人との間で受取りまたは支払いを行ないます。
オーバートリックの点数はビッドで必要なトリック数以上に取った場合、余分な1トリックにつきもらえる点数です。
例えば、ソロのビッド(5トリック必要)で7トリック取った場合は、2トリック余分にとったので、オーバートリックで1/2点(1/4 x 2)もらえ、基本点の1点と合せて1と1/2点を3人それぞれからもらえます。
アンダートリックの点数はビッドを達成できなかった時にかかわってくる点数です。必要なトリックに1トリックだけ足りなかった場合は基本点による損失だけでアンダートリックの点数はつきませんが、それより1トリック少ないごとにこの点数が損失となります。
例えば、アバンダンスのビッド(9トリック必要)で5トリックしか取れなかったら、3トリックのアンダートリックになります。
ミゼール、ミゼール・ウベルト及びアバンダンス・デクラレにはオーバートリックやアンダートリックの点数はつきません。
基本点 | オーバートリック/アンダートリック | ||
プロポーズ&アクセプト | 1 | 1/4 | |
ソロ | 1 | 1/4 | |
ミゼール | 2 | ||
アバンダンス | 3 | 1/2 | |
アバンダンス・イン・トランプ | 3 | 1/2 | |
ミゼール・ウベルト | 4 | ||
アバンダンス・デクラレ | 6 |
ソロホイストには、様々なバリエーションがあります。
以下の記述は主にDavid Parlett氏の"The Penguin Book of Card Games"に拠りました。
点数は、いろいろなやり方があります。下記はその例です。
例1 | 例2 | 例3 | |||
基本点 | オーバートリック/アンダートリック | 基本点 | 基本点 | ||
プロポーズ&アクセプト | 1 | 2/10 | 2 | 1 | |
ソロ | 1 | 2/10 | 2 | 2 | |
ミゼール | 2 | 3 | 4 | ||
アバンダンス | 3 | 3/10 | 4 | 6 | |
アバンダンス・イン・トランプ | 3 | 3/10 | 4 | 6 | |
ゼール・ウベルト | 4 | 6 | 8 | ||
アバンダンス・デクラレ | 6 | 8 | 12 |
本文では、アンダートリックやオーバートリックの点数をつけていますが、そのような点数を認めないこと(点数がないこと)も多くあります。認める場合でも、いろいろな点数があります。
切札候補を決めるために、ディーラーのカードの1枚を表向きにするのを嫌い、次のような方法を取ることがあります。
1)別のカードパックを使い、そこから1枚を表向きにする。
2)1ディール目はスペード、2ディール目はハートというように、決まった順序で切札候補をきめる。
3)ジョーカーを使用する。13枚ずつ配って残った1枚を表向きにして、切札候補カードとする。ジョーカーは、切札候補カードと同じカードとしてプレイに使用される。
最初の1トリックは、切札候補のスートを切札とし、2トリック目から、ビッダーの決めたスートを切札とすることがあります。
また、最初のリードが行われてから、切札が宣言されることもあります。
全員パスのとき、配り直しをするかわりに、配られた手札で次のようなプレイを行うことがあります。
ミゼールのほうがソロよりも低いビッドのことがあります。
本文では、プロポーズを行ったけれど、他の全員がパスをした場合、そのプレイヤーは他のビッドに変更することができると述べましたが、これができるのはディーラーの左隣のプレイヤーだけというルールもあります。また、ソロにだけ変更できるというルールもあります。
ポロポーズとアクセプトのビッドを認めない流派もあります。(Parlett氏はこのルールに批判的です。)
指定した切札を使うアバンダンス・デクラレを、アバンダンス・デクラレの代わりにしたり、アバンダンス・デクラレより強いビッドにしたりすることがあります。(Parlett氏はこのルールにも批判的です。)
ビッドの種類の別称です。
ソロホイストの用語は、フランス語からきたものが多いようです。アバンダンス(Abondance)もフランス語からきた用語ですが、普通の英語風に"Abundance"と綴られることもあります。