トップに戻る

タロキ・ズ・クルラミ(Taroki z królami)

2012/8/4赤桐

 ポーランドのビュルスコ・ビャワ市の東約6キロのコジ村でプレイされているタロットカードのゲームです。

 ルールはPagat.comによります。


プレイヤー

 4人。2人がパートナーになることがありますが、誰をパートナーにするかは一定していません。

カード

 オーストリアパックと同じ種類の54枚のカードを使います。スペード、クラブ、ダイヤモンド、ハートの4つのスートがあり、各スートには8枚のカードがあります。それ以外に切札のスートが22枚あります。

 絵札は、キング(K: król)、クイーン(Q: dama)、カバロ(C: kawal/gawal)、ジャック(J: walet)があります。

 黒のスート(スペードとクラブ)のカードとその強さは強い順に次の通りです:

   キングクイーンカバロジャック10987

 赤のスート(ハート、ダイアモンド)のカードとその強さは:

   キングクイーンカバロジャック1234

 切札の最強のカードは数字が何も入っていない「スキジュ(Skiż,愚者)」のカードです。次に強いのがローマ数字でXXI(21)の数字の書かれているカードです。

 以下、数字が小さくなると弱くなっていき、I(1)のカードが切札では最も弱いカードとなります。このカードはパガット(Pagat)と呼ばれます。

カードの点数

 プレイの目的はトリックに勝って、取ったカードの点数を得ることです。全部で70点ありますが、普通は自分と自分の仲間の取ったカードの点数の合計で36点以上を狙います。

 各カードの点数は次の通りです:

スキジュ(愚者) 5
切札21 5
パガット(切札 5
キング 5
クイーン 4
カバロ 3
ジャック 2
それ以外のカード 1

 さらに、取ったカードを3枚1セットにして、それぞれについて2点を引いていきます。2枚または1枚残ったら1枚につき2/3点を引きます。

ディール

 カードをドローして最も弱いカードを引いたプレイヤーがディーラーになります。1つのディールが終わるとディーラーは反時計回りに右隣のプレイヤーに移っていきます。

 ディーラーはシャッフルして向かい側のプレイヤーにカットしてもらったあと、まず6枚のカードをテーブルの中央に裏向きに置き、タロンとします。そのあと、ディーラーの右隣から反時計回りに、各プレイヤーに6枚ずつ2回、裏向きに配ります。各プレイヤーの手札は12枚になります。

 ディーラーの向かいのプレイヤーはカットを断ることができますが、この場合には、ディーラーはタロンに配ったあと4つの山に12枚ずつカードを配り、ディーラーの右隣から反時計回りの順に、好きな山を取っていきます。

 手札に切札が1枚も含まれていなければ、そのプレイヤーそのことを告げて配りなおしにすることができます。この宣言はビッドが始まる前に行わなければなりません。ディーラーは交代します。

 手札に4枚のキングが含まれていたら、ビッドの前にそのことを宣言して、テーブルに広げることができます。これは自分のチームでこの4枚のキングをすべて取るという宣言になります。公開したら手札に戻します。これは強制ではありません。

ビッド

 次に、デクレアラーを決めるためにビッドを行います。

 ビッドはディーラーの右隣から反時計回りに1人ずつ行います。ビッドは1人1回しか行うことができません。

 可能なビッドの種類は、(Jeden)、(Dwa)、(Trzy)、(Cztery)の4種類です。ビッドをしたくなければパスを宣言します。誰かがビッドした後は、最後のビッドよりも大きい数のビッドしか行うことができません。また、のビッドを行うことができるのは、誰かがのビッドをしたときだけです。

 最後にビッドを行ったプレイヤー(最も大きい数をビッドしたプレイヤー)がデクレアラーになります。

 デクレアラーのビッドがだった場合には、デクレアラーはプレイを行わないで配り直しとすることができます。得失点はありません。全員がパスをした場合にも配り直しとなります。配り直しの時には、ディーラーは交代します。

パートナーの指名

 デクレアラーは、ビッドのあと、どれかのスートのキングを指定して、そのカードを持っているプレイヤーをパートナーに指名します。

 自分の持っているキングを指定してもかまいません。その場合にはパートナーがいません。また、自分がキングを4枚すべて持っている場合(この場合にもキングの指定は行います)や、タロンの中に指定したキングがあった場合にも、パートナーなしでプレイすることになります。

 なお、指名されたプレイヤーは、プレイや宣言で明らかになるまでは、指名されたことを誰にも告げてはいけません。自分を指名した場合も同じです。

 これ以降、デクレアラーと指名されたプレイヤーはデクレアラーチーム、それ以外のプレイヤーはディフェンダーチームと呼ぶことにします。

キング・ウルティモ(Król ultymo)

 パートナーの指名があったらすぐに、指名されたパートナーは、キング・ウルティモを宣言することができます。これは、パートナー指定されたキングで、最後のトリックに勝つという宣言です。 

コントラ

 パートナーの指名があったら、ディフェンダーチームのプレイヤーは誰でも、相手チームのプレイが失敗すると思ったら、コントラ(Kontra)を宣言して、プレイの結果のゲーム点を2倍にすることができます。

 これに対してデクレアラーチームは誰でも、(Re)を宣言してゲーム点を4倍にすることができます。

 さらに、これに対してディフェンダーチームの誰かが、スブ(Sub)を宣言してゲーム点を8倍にすることができ、これに対して、デクレアラーチームの誰かが、モルト(Mort)を宣言してゲーム点を16倍にすることができます。

 キング・ウルティモに対しても、コントラなどを行うことができます。

タロンとの交換

 パートナー指名の後で、デクレアラーはタロンのカードを手札と交換することができます。

 交換できる枚数は、のビッドなら3枚、のビッドなら2枚、のビッドなら1枚です。のビッドの時には交換できません。

 のビッドの時には、次のように交換を行います。

  1. タロンの上から2枚のカードをデクレアラーだけで見て、このカードを手札と交換するかどうかを決めます。交換する場合にはそれを手札に入れて、2枚捨て札して終了します。
  2. 交換しない場合には、タロンの上の2枚のカードを表向きにして、タロンの次の2枚のカードをデクレアラーだけで見て、このカードを手札と交換するかどうかを決めます。交換する場合にはそれを手札に入れて、2枚捨て札して終了します。
  3. それも交換しない場合には、タロンの上の4枚のカードを表向きにして、タロンの最後の2枚のカードをデクレアラーだけで見て、このカードを手札と交換するかどうかを決めます。交換する場合にはそれを手札に入れて、2枚捨て札して終了します。
  4. 上記で交換が終わらなかった場合には、タロンの全部のカードを表向きにして、今までに見た2枚セットの3組の中からどれかを選んで交換します。つまりそれを手札に入れて、2枚捨て札して終了します。

 のビッドの場合には、同様に3枚ずつのセットで交換を行います。のビッドの場合には、1枚ずつ上記のように交換するかどうか決めていきます。

 5点の点数のあるカードは捨て札できません。切札は他に捨てることのできるカードがないときだけ捨て札できますが、表向きに捨て札します。

 捨て札されたカードはデクレアラーチームのものになります。交換されなかったタロンはディフェンダーチームのものになります。ただし、交換されず表向きにもならなかったタロンのカードの中にパートナー指名のキングが入っていた場合には、そのタロンのカードはすべてデクレアラーチームのものになります。

降伏

 デクレアラーが見たタロンのカードの中にパートナー指名のキングがあった場合、デクレアラーは規定のゲーム点(2ゲーム点)を他の各プレイヤーに払って、このディールを終了することができます。

宣言

 タロンのカードの交換の後、プレイが始まる前に、次の宣言を行うことができます。宣言により得点が変わってきます。

 宣言はデクレアラーから始まって、反時計回りに1人1回だけ行います。複数の宣言を行うことはできます。宣言には次のものがあります。

トルル

 スキジュと切札21とパガット(切札1)を持っているプレイヤーだけが宣言できます。その3つのカードを自分のチームが全部取るという宣言です。

パガット・ウルティモ(Pagat ultymo)

 パガット(切札1)を持っているプレイヤーだけが宣言できます。最後のトリックをパガットで勝つという宣言です。

バレット(Walet)

 12トリック全部を取るという宣言です。

10切札、11切札、12切札(ziesięc taroki, Jedenaście taroki, Dwanaście taroki)

 手札にこの枚数の切札があるという宣言です。

2切札、1切札、切札なし(Dwa taroki, Jeden tarok, Bez taroki)

 手札にこの枚数の切札しかないという宣言です。

 トルルまたはパガット・ウルティモの宣言があった場合には、相手チームの誰かはコントラを宣言できます。これに対して、レ、スブ、モルトの宣言も可能です。

プレイ

 プレイはトリックテイキングゲームのルールに従いますが、次の規則があります。

 最初のリードは、ディーラーの右隣のプレイヤーが行います。プレイは反時計回りに行います。

 切札がリードされたときには、切札を持っていれば、切札のカードを出さなければいけません(マスト・フォローと言います)。持っていなければ、何を出してもかまいません。

 切札以外のカードがリードされたときには、リードされたスートを持っていればそのスートのカードを出さなければなりません(マスト・フォロー)。リードされたスートを持っていなくて、切札を持っていれば切札を出さなければいけません(マスト・ラフと言います)。それ以外の時には何を出してもかまいません。

 パガット・ウルティモの宣言をしたプレイヤーは、上記のルールを守ったうえで可能ならば、パガットのカードを最後のトリックまで出さないようにしなければなりません。キング・ウルティモの宣言をしたプレイヤーも同様に、最後のトリックまでそのキングを出さないようにしなければなりません。

 トリックは、切札がプレイされているときには最も強い切札を出したプレイヤーが勝ち、切札がプレイされていないときにはリードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。

 トリックに勝ったら、勝ったプレイヤーが出されたカードを裏向きにして回収しますが、そのカードはそのプレイヤーの前に置かれます。

得点

 プレイの成功や失敗により、あるいはボーナスやペナルティーにより、ゲーム点が発生します。ゲーム点はカードの点数とは全く違いますから、注意してください。

 2人のチームがゲーム点を得たときには、各プレイヤーが相手チームの1人のプレイヤーからゲーム点をもらうことになります。

 パートナーのいないデクレアラーがゲーム点を得たときには、その点数を他の3人からもらうことになります。ゲーム点を失うときには、他の3人全員に支払うことになります。

プレイの得点

 デクレアラーチームがプレイで35点より多い点数を得た場合には、デクレアラーチームの勝ち、35点以下だった場合にはディフェンダーチームの勝ちとなります。勝ったチームがビットの数字と同じだけのゲーム点を得ます。

 コントラなどがあれば、それが2倍、4倍...していきます。

 降伏の場合には、ビッドにかかわらず、2ゲーム点を他の各プレイヤーに払います。コントラなどがあっても増ません。また、以下のようなプレイ以外の得点もありません。

手札の切札の枚数による得点

 宣言があった時だけ、次のような得点があります(個人ではなくチームの得点です)。

トルル

 1つのチームがスキジュと切札21とパガット(切札1)を取った時、2ゲーム点。トルルの宣言があって成功した時(そのチームが全部取った時)、4ゲーム点(2ゲーム点の代わりに4ゲーム点ということです。以下同様)。失敗した時、相手チームに4ゲーム点。

4枚キング(Czetry król)

 1つのチームが4枚のキングを取った時、2ゲーム点。4枚キングの宣言があって成功した時(そのチームが全部取った時)、8ゲーム点。失敗した時、相手チームに8ゲーム点。

パガット・ウルティモ(Pagat ultymo)

 最後のトリックにパガットを出して、そのパガットで勝ったら、そのチームに1点。最後のトリックにパガットを出して、そのパガットが負けたら、相手チームに1点(パガットを出したチームがトリックに勝った場合も含む)。

 パガット・ウルティモの宣言があって成功した時は、2ゲーム点。失敗した時、相手チームに2ゲーム点。最後のトリックまでにパガットを使用してしまった場合も失敗です。

パガット

 パガットをプレイして、相手チームがそれを取った場合には、取ったチームが1ゲーム点を得る。ただし、パガット・ウルティモのゲーム点がどちらかに入る場合には、このゲーム点はない。

キング・ウルティモ(Król ultymo)

 デクレアラーチームが、最後のトリックにパートナー指名のキングを出して、そのトリックに勝ったら(そのキングで勝たなくてもよい)、1ゲーム点。

 キング・ウルティモの宣言があって成功した時は、2ゲーム点。失敗した時、相手チームに2ゲーム点。最後のトリックまでにそのキングを使用してしまった場合も失敗です。

パートナー指定のキング

 パートナー指名のキングをディフェンダーチームが取ったら、いつでもディフェンダーチームが1ゲーム点。 (ただし、相手のキングウルティモ宣言の失敗で2ゲーム点を得る場合には、得点しない。)

 パートナー指名のキングが表向きになったタロンのなかにある場合(デクレアラーが取らなかった場合)も、ディフェンダーチームに1ゲーム点。

切札21の捕獲

 切札21をプレイして、相手チームのスキジュに取られたとき、取ったチームが2ゲーム点を得点します。

バラット(Walat)

 1つのチームが12トリック全部を勝った時、5ゲーム点を得点します。バラットの宣言があった場合には、成功しても失敗しても20ゲーム点となります。


2012年8月4日、なかよし村でプレイしました。

結構複雑なゲームですが、他のタロットカードのゲームと同じような面白さがあります。