1996/11/12 赤桐
トレセッテはスコパ(スコポーネ)やブリスコラとならんで、イタリアで最もポピュラーなゲームです。
ここで紹介するのは4人のパートナー戦ですが、個人戦のものもあり、人数もさまざまなものもあって、別の名前でも呼ばれています。カラブラセラも3人用のトレセッテの一種です。
実は、なかよし村でこのゲームをプレイしたときにはあまり評判はよくなかったのです。たしかに、単に点数のあるカードをたくさん取ろうとするだけのトリックテイキングゲームなので、面白味に欠けるのもよくわかります。
しかし、もっと複雑なゲームも知っているはずのイタリアで、長い間遊びつがれてきたゲームであり、それだけの価値はどこかにあると思います。単純なだけに、かえってやりこまないと本当の面白さがわからないゲームなのではないでしょうか。
ルールは、基本的には、David Parlett氏の"A Dictionary of Card Games"に拠ります。
4人。向かい合った2人がパートナーになります。
40枚のイタリアンパックのカードを使用します。
バトン、ソード、コイン、カップの4つのスートがあり、各スートは10枚のカードからなっています。強い順に並べると:
3、2、1(エース)、レ(Re)、カバロ(Cavall)、ファンテ(Fante)、7、6、5、4
普通のカードを使うときは、各スートの8、9、10のカードを除き、レ=キング、カバロ=クイーン、ファンテ=ジャックとして遊びます。
各スートの以下のカードをトリックで取ると、次の点数がつきます。その他のカードには点数がありません。
エース | 1点 |
3、2、レ、カバロ、ファンテ | 1/3点(3分の1点) |
また、最後のトリックを取ると、1点がつきます。
ディーラーは各プレイヤーに1枚ずつ10枚のカードを配ります。ディールは反時計回りに行います。
ディーラーは反時計回りに交代します。
ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードを行い、通常のトリックテイキングゲームのルールに従ってプレイします。ただし、プレイは反時計回りで す。
切り札はありません。リードされたスートと同じスートのカードを持っているときは、そのスートのカードをプレイしなければなりませんが、持っていない場合には、どのカードをプレイしてもかまいません。
リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーが、トリックに勝ちます。
ディールが終わると、各チームは取ったカードの点数を数えます。これがそのまま得点となります。ただし、1点未満の端数は切り捨てとなります。
両チームの得点を合計すると11点になるはずです(カードの点数が10点、最後のトリックの点数が1点)。
ゲーム終了の点数は21点です。プレイ中に21点に達したと思ったチームのプレイヤーは、それを宣言します(プレイはそれ以上行われません)。数えてみてその通りならば、そのチームの勝利となります。もし21点に達していなければ、相手チームの勝利となります。
ほかにも、次のような場合にゲームが終了します。
1つのチームが1つのディールで10トリック全部を取ったとき。2ゲーム勝ったことにります。(つまり、1ゲームについての掛け金が決まっているときには、2ゲーム分の掛け金をもらうことになります。)
1人のプレイヤーが1つのディールで10トリック全部勝ったとき6ゲーム勝ったことになります。
1つのディールにおいて、片方のチームがカードの点数の10点を全部取り、相手チームが1トリック以上取っている場合には、3ゲームの勝ちとなります。最 後のトリックの1点はこれには無関係です。相手チームは1点未満のカードの点数なら取っていてもかまいません。(カポットと比べると、全部のトリックを取っていない方が、大きく勝てるわけです。)
1つのディールにおいて、1人のプレイヤーがカードの点数の10点を全部取り、相手チームが1トリック以上取っている場合には、8ゲームの勝ちとなります。最後のトリックの1点はこれには無関係です。残りの3人は合計して1点未満のカードの点数なら取っていてもかまいません。
プレイ中に次のシグナルが使えます。シグナルは声に出してもかまいませんし、動作で表わしてもかまいません。(例えば、「ブッソ」と声を出しても、テーブルをこぶしで叩いてもかまいません。)
シグナルが使えるのは、自分からリードするときだけです。
可能ならば、トリックに勝って、同じスートのリードを返すことを要求します。
リードしているカードが、そのスートの最後のカードであることを知らせます。
自分の最も良いスートのカードをリードしているということを知らせます。
ストリクチオのシグナルは採用されないこともあります。
これはオプショナルルールなので、採用するかどうかはプレイ前に決めておかなければなりません。
手札に次の組み合わせのカードがあれば、宣言して、点数をもらうことができます。もちろん、パートナーと合わせてではなく、個人の手札においてです。
3が4枚、2が4枚、Aが4枚 | 4点 |
3が3枚、2が3枚、Aが3枚 | 3点 |
ナポレターナ(同じスートの3、2、A) | 3点 |
上記の組み合わせのものがいくつかあれば、全部宣言することができます。(ただし、もちろん「3が4枚」と「3が3枚」を両方宣言することなどはできません。)
例えば、コイン以外の各スートの3、2、A全部と、コインの3を持っていれば、「3が4枚」、「2が3枚」、「Aが3枚」と3つの「同じスートの3、2、A」を宣言できるので、19点もらえることになります。
宣言するためには、まず、最初のトリックのプレイ前にブオンジョコ(Buon Gioco)と言って、オナーのあることを予告しておかなければなりません。
1トリック目のプレイの終了後に、どのようなオナーがあるかを宣言して得点を得ます。1トリック目にプレイに使ったカードでも、オナーを構成するカードとして扱うことができます。
3や2やAの3枚そろいを宣言するときには、どのスートが欠けているかを、言わなければなりません。また、ナポレターナを宣言するときには、どのスートなのかを言わなければなりません。
オナーのルールを採用したときには、ゲーム終了の点数は21点より高くなります。例えば、31点あるいは51点です。
John McLeod氏のインターネットWWW上でのルールは、本文のものと次のような違いがあります。
John Scarne氏は、"Scarne's Encyclopedia of Games"に、ナポリでプレイされていたトレセッテのルールを記しています。本文のルールとの違いはつぎのようです。
David Parlett氏の本には特別なオナーのルールとして、次のようなことが書かれています。
「手札がすべて同じスートだった場合をナポレターナ・デチマ(Napoletana decima)と呼び、直ちにゲーム終了となります。16ゲームの勝ちとなります。」
ストリクチオの意味は次のようになることがあるようです。
また、ストリクチオとブッソを同時にシグナルできるというルールもあるようです(イタリア語Wikipedia)。
2〜4の文献は直接参照したものでななく、David Parlett氏の本に出ていた ものです。