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マラフォン(Marafon)

2009/1/10 赤桐

 イタリアのロマーニャ地方でプレイされているゲームです。ベッカチーノ(Beccaccino)とも呼ばれます。イタリアで最もポピュラーなゲームと言われているトレセッテに似たゲームですが、トレセッテが切札なしでプレイされるのに対し、このゲームには切札があります。比較的新しいゲームで、印刷物で紹介されたのは1970年代以降のことのようです。

 同じイタリアのマドラッソというゲームにも似ていますが、カードの点数と切札の決め方などが違います。

 ルールは John McLeod氏のホームページ(http://www.pagat.com/)などによりました。


人数

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。

カード

 40枚のイタリアンパックのカードを使用します。

 バトン、ソード、コイン、カップの4つのスートがあり、各スートは10枚のカードからなっています。強い順に並べると:

  (エース)、(Re)、カバロ(Cavalo)、ファンテ(Fante)、

 普通のカードを使うときは、各スートの10のカードを除き、レ=キング、カバロ=クイーン、ファンテ=ジャックとして遊びます。また、バトン=クラブ、ソード=スペード、コイン=ダイアモンド、カップ=ハートと考えてください。

 [C3] [C2] [CA] [CK] [CQ] [CJ] [C7] [C6] [C5] [C4]

点数

 各スートの以下のカードをトリックで取ると、次の点数がつきます。その他のカードには点数がありません。

エース 1点
カバロファンテ 1/3点(3分の1点)

 また、最後のトリックを取ると、1点がつきます。

ディール

 ディーラーは各プレイヤーに5枚ずつ10枚のカードを配ります。ディールは反時計回りに行います。

 ディールの後、バッテザンテ(battezante=洗礼を授ける人)とよばれるプレイヤーが、1つのスートを切札に指定します。

 最初のディールではコイン(ダイアモンド)のを配られたプレイヤーがバッテザンテになります。次のディール以降は、前回のバッテザンテがディーラーになり、ディーラーの右隣がバッテザンテとなります。(つまり、3回目のディールからはディーラーとバッテザンテは反時計回りに交替していきます。)

 切札を指定するときには、パートナーと相談したりパートナーが合図を送ったりすることはできません。このため、2回目以降のディールでは、バッテザンテのパートナーのプレイヤーは切札が決まるまで自分の手札を見ることが禁止されます。

プレイ

 バッテザンテが最初のリードを行い、通常のトリックテイキングゲームのルールに従ってプレイします。ただし、プレイは反時計回りで す。

 ルールをまとめると次のようになります。

  1. リードされたスートのカードがあれば、そのスートのカードを出します。
  2. なければ、どのカードを出してもかまいません。
  3. 切札が出ていない場合は、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます(トリックを取ります)。
  4. 切札が出ている場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。
  5. 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。

 切札の最も強い3枚のカード(エース)を持っているプレイヤーは、最初のトリックの間に宣言すると、自分のチームに3点を得点することができます。これをマラフォーナ(marafona)と呼びます。

シグナル

 プレイ中に次のシグナルが使えます。シグナルは声に出してもかまいませんし、動作で表わしてもかまいません。(例えば、「ブッソ」と声を出しても、テーブルをこぶしで叩いてもかまいません。)

 シグナルが使えるのは、自分からリードするときだけです。

ブッソ(Busso) : テーブルをこぶしで叩く

 可能ならば、トリックに勝って、同じスートのリードを返すことを要求します。

ボロ(Volo): カードを投げてゆっくりテーブルに着地させる

 リードしているカードが、そのスートの最後のカードであることを知らせます。

ストリスチオ(Striscio): カードをすばやくテーブルにすべらせる

 リードしているカード以外に、1枚以上の低いカード(レ=キングかそれ以下のカード)を持っている ということを知らせます。

 上記以外のシグナルは禁止されます。1回のリードで2つ以上のシグナルを出すことはできません。ボロやストリスチオで自分の手札が上記と違っていてもルール違反ではありません。

得点

 ディールが終わると、各チームは取ったカードの点数を数えます。これがそのまま得点となります。ただし、1点未満の端数は切り捨てとなります。

 両チームの得点を合計すると11点になるはずです(カードの点数が10点、最後のトリックの点数が1点)。

ゲームの終了

 ゲーム終了の点数は41点です。プレイ中に累計点がその点数に達したと思ったチームのプレイヤーは、それを宣言し、プレイはそこで終わります(マラフォーナの点数も含めることができます)。数えてみてその通りならば、そのチームの勝利となります。もし達していなければ、相手チームの勝利となります。宣言する前に取ったトリックを見ることはできません。宣言しないで、最後までプレイすることもできます。

 通常はゲームを繰り返して、最初に2ゲーム取ったチームの勝ちとします。


注1

 John McLeod氏のホームページには次のようなバリエーションが紹介されています。

  1. 最初のゲームと2回目のゲームはゲームの終了点数は31点とし、3回目のゲームだけを41点の終了点数とする。
  2. 終了点数を31・1/3点(31と3分の1点)とし、終了宣言のときマラフォーナの点数を含めることはできない。
  3. バッテザンテだけがマラフォーナを宣言できる。
  4. バッテザンテが切札エースをリードしたときだけマラフォーナを宣言できる。
  5. バッテザンテの手札の点数が1・1/3点(1と3分の1点)以下のとき、配り直しを要求できる(同じディーラーで配り直しをする)。

注2

 ストリスチオは次のような意味になることもあります。

  1. リードしたスートが手札にまだある(レ以下のカードとは限らない)。カードを長く飛ばしたときはそのスートがまだ2枚以上手札にある。短く飛ばしたときは1枚手札にある。
  2. リードしたスートが手札にまだ1枚以上ある(レ以下のカードとは限らない)。
    (http://it-it.facebook.com/pages/Beccaccino/34081226506)(http://www.settesere.it/public/parser_download/save/numero.ss.2006.38.Pag10.cronaca.pdf)(http://www.mitidiromagna.it/maraffone.asp?page=2)

 2009年1月10日、なかよし村でプレイしました。

 シンプルなゲームですが、カードに点数のあるトリックテイキングゲームのプレイの面白さは十分楽しめます。シグナルのルールがなかなか面白いです(イタリアのゲームにはよくありますが)。