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ボストン(boston)

2014/4/5 赤桐

ボストンはカドリーヌという古いゲームから派生したトリックテイキングゲームですが、ホイストの影響も受け、よりシンプルで近代的なゲームとなっています。

アメリカの地名から来た名前ですが、フランスで1770年頃作られて、アメリカ独立戦争を記念して名づけられたようです(アメリカで作られたという説もあります)。 現在ではあまりプレイされていません。

いろいろなルールがあるのですが、ここではLawrence Dawson氏による古風なルールを紹介します。


プレイヤー

4人

カード

普通のトランプ52枚を使用します。 普通は2組のカードを交互に使用するようです。

各スートのカードの強さは、強いものから次のようになります。

10

プール

各プレイヤーはゲームの最初に同額のポーカーチップなどのカウンターを持ちます。 各ディールの前に決められた額のカウンター(10点分など)をプール(テーブル中央の場所)に入れます。ディーラーだけはその2倍の額を入れます。

ディール

最初のディーラーは任意の方法で決め、時計回りに交替します。

ディーラーの左隣から各プレイヤーに4枚ずつまとめて2回配り、最後に5枚ずつ配ります。 各プレイヤーの手札は13枚になります。

別の52枚のカードはまとめて裏向きに置かれますが、それをディーラーがカットして、下になった束の一番上のカードを表にします。 このカードのスートがファースト・プリファランス(First Preference)となり、 そのスートと同じ色の別のスートがセカンド・プリファランス(Second Preference)となります。 それ以外は普通スート(Plain Suit)です。

ビッド

ディールが終わるとビッドを行います。 ビッドに勝ったプレイヤーは、トリックテイキングゲームを行って、ビッドしたプレイ結果になるようにプレイします。

ビッドには次の種類があります。ビッドの時に弱いものから順に挙げます。

ビッドの種類 意味
ボストン(Boston) 5トリック以上を取る
6トリック 6トリック以上を取る
7トリック 7トリック以上を取る
リトル・ミゼール(Little Misère) 切札なしで12トリックを負ける
8トリック 8トリック以上を取る
9トリック 9トリック以上を取る
グランド・ミゼール(Grand Misère) 切札なしで13トリック全部を負ける
10トリック 10トリック以上を取る
11トリック 11トリック以上を取る
リトル・スプレッド(Little Spread) 切札なしで12トリックを負ける。手札は公開する
12トリック 12トリック以上を取る
グランド・スプレッド(Grand Spread) 切札なしで13トリック全部を負ける。手札は公開する
グランド・スラム(Grand Slam) 13トリック全部を勝つ

ビッドの方法

ディーラーの左隣のプレイヤーからビッドを行います。 ビッドをしたくなければパスをします。 一度パスをすればそれ以後はビッドに参加できません。 例外として、ミゼールやスプレッドのビッドは、パスをしてからでも行うことができます。

ビッドは何巡でも行われますが、誰かがビッドを始めたあとは、今までのビッドより高位のビッドしかできません。 ただし、トリック数のビッドの時には、それに対して「キープ(I Keep)」とビッドできます。 これは、同じトリック数だがファースト・プリファランスまたはセカンド・プリファランスのスートでプレイするということになります。 これに対して「キープ・オーバー(I Keep Over You)」とビッドすることもできます。 これは同じトリック数だがファースト・プリファランスのスートでプレイするということです。

1人以外の全員がパスをしたら、最後にビッドしたプレイヤーがソロイストになります (デクレアラーと呼んでもかまいませんが、ソロの系統のゲームではこのように呼ばれることが多いようです)。

全員がパスをしたら、あとで説明するミゼール・パルトゥ(Misère Partout)をプレイします。

プレイ

プレイの前にソロイストは切札のスートを宣言します。 キープやキープ・オーバーのビッドの時には、指定できる切札は制限されます。

リトル・ミゼールやリトル・スプレッドでは、ソロイストは1枚を裏向きに捨て札します。 他のプレイヤーは捨て札しません。12トリックをプレイします。

リトル・スプレッドやグランド・スプレッドでは、ソロイストはプレイ前に手札をテーブルに表向きに広げて置き、その状態でプレイします。

常にディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードをします。 プレイはトリックテイキングゲームのルールに従います。

リードされたスートと同じスートのカードを出す義務があります。できない時には、どのカードをプレイしてもかまいません。

得点

トリック数のビッドでは、ソロイストが下記の表の点数のカウンターを他の各プレイヤーからもらうか、支払います(マイナスが付いているものは支払いになります。)

ビッド 実際に取ったトリック数
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
5トリック -50 -41 -31 -21 -11 12 12 13 13 14 14 14 15 15
6トリック -66 -55 -45 -34 -25 -15 15 16 16 17 18 19 20 20
7トリック -82 -72 -60 -50 -40 -29 -19 18 20 21 22 23 24 26
8トリック -110 -89 -78 -67 -56 -46 -34 -23 23 24 26 28 29 31
9トリック -127 -115 -103 -92 -82 -68 -57 -44 -33 32 34 36 39 41
10トリック -157 -145 -132 -119 -107 -94 -82 -70 -56 -44 42 45 48 52
11トリック -208 -194 -180 -165 -151 -138 -123 -109 -95 -80 -67 63 68 72
12トリック -304 -286 -270 -252 -234 -217 -200 -182 -165 -148 -130 -113 106 114
グランド・スラム -433 -412 -390 -369 -348 -326 -305 -284 -262 -241 -222 -193 -177 166

その他ビッドでは、成功か失敗かによって次の点数のカウンターをもらうか支払います。

また、7トリックかそれ以上をビッドして成功したら(ミゼールを含む)、プールにあるカウンターをすべてもらいます。 逆に7トリック以上のビッドで失敗したら、プールにある額の2倍をプールに支払います。 なお、プールの額が大きくなりすぎないように、プールの額が一定額(250点など)以上になるようなら、 一定額を超えたものを予備のプールに入れ、プールが空になったら予備のプール(から一定額以内)を使うようにすることもあります。

ミゼール・パルトゥ(Misère Partout)

全員がパスをしたら、このプレイをします。切札はありませんが、プレイのルールは変わりません。

最も多いトリック数を取ったプレイヤーが、他の各プレイヤーにトリック数の差を10倍した点数のカウンターを支払います。 例えば、A:5トリック、B:4トリック、C:3トリック、D:1トリックなら、AはBに10点、Cに20点、Dに40点を支払います。

2人が最も多いトリック数で同数ならば、同数の各プレイヤーが他の2人に、トリック数の差を5倍した点数ずつを支払います。 3人が4トリックずつ同数ならば、同数の各プレイヤーは4人目のプレイヤーに10点ずつ支払います。

ホイスター(Whister)

オプショナル・ルールです。トリック数でビッドを行ったソロイストは、ホイスターと呼ばれるパートナーを募集することができます。誰かがホイスターになると宣言したら、この2人は合わせてビッドしたトリック数より3トリック多く取らなければなりません。

成功した場合、ソロイスト側の各プレイヤーは、他のプレイヤーの1人から規定の点数のカウンターを受け取ります。 失敗した場合はその逆となります。ポットからの受け取りや支払いは半分ずつになります。

ただし、失敗の場合で、片方のプレイヤーだけが義務を果たせなかった時(つまりソロイストがビッドしたトリック数を取れなかったか、ホイスターが3トリック取れなかった時)には、 そのプレイヤーだけが他の各プレイヤーへの支払いを行い、ポットへも全額(ポットの2倍)を支払わなければならないというルールにすることもあります。


2014年4月5日、なかよし村でプレイしました。

普通に楽しめるトリックテイキングゲームという感じです。