1995/8/10・2023/4/1赤桐
イタリアで盛んにプレイされているトリックテイキングゲームです。 スコパやトレセッテと共に、イタリアの3大ゲームと呼ばれることもあります。 スペインでもブリスカスという名前でプレイされています。
1828年に最初の記録があります。 起源については、18~19世紀にフランスで盛んだったBrusquembilleが基になっているなど、諸説があるようです。
手札が3枚しかなくルールも単純ですが、フォローの義務がないので各プレイヤーの自由度は大きく、うまくプレイするのは難しいゲームです。
ルールは主にPagat.comや英語とイタリア語のWikipediaに基づきます。
2人、3人、4人、6人。主に4人でプレイします。 4人のときは向かい合った2人がパートナーになります。 6人のときは1人おきの3人がチームになります。
まず、4人ゲームを紹介します。
40枚のイタリアのカードを使います。 普通のトランプでプレイするときには、52枚のカードから、10と9と8を除きます。
イタリアのカードのスートは、スパーデ(Spade/剣)、バストーニ(Bastoni/バトンまたはこん棒)、コッペ(Coppe/カップ)、デナリ(Denari/貨幣)です。(ソードがスペードに、バトンがクラブに、カップがハートに、コインがダイアモンドに相当すると考えることもできます。)
各スートのカードは、レ(Re/10/キング)、カバロ(Cavallo/9)、ファンテ(Fante/8)、7、6、5、4、3、2、アッソ(Asso/エース)です。レは冠を被った人物。カバロは馬に乗った人物。ファンテは冠も馬もない人物です。普通のトランプを使うときは、カバロ=クイーン、ファンテ=ジャックと考えます。
このゲームでは、各スートのカードの強さの順位は、強いものから順に、アッソ、3、レ(キング)、カバロ、ファンテ、7、6、5、4、2です。
カードにはそれぞれ点数があります。この点数をたくさん取ることが、プレイの目的となります。
カード | 点数 |
---|---|
各アッソ | 11点 |
各3 | 10点 |
各レ | 4点 |
各カバロ | 3点 |
各ファンテ | 2点 |
7、6、5、4、2 | 0点 |
全カードの合計点は120点となります。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。 ディーラーはディールごとに反時計回りに交代します。
ディーラーは3枚ずつまとめて各プレイヤーにカードを1回だけ配ります(右隣のプレイヤーから始めて反時計回りに配ります)。
次のカードは切札表示カードとしてテーブル中央に表向きにします。このカードのスートが切札となります。 なお、「ブリスコラ」は切札という意味でもあります。
残りのカードは山札として裏向きのまま切札表示カードの上に置きます。 ただし、切札表示カードのスートが見えるように、ずらして置きます。 切札表示カードも、最後には、山札として扱われます。
ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードをして、 トリックテイキングのプレイをします。 プレイの順序は反時計回りです。
このゲームではフォローの義務がないので、どのカードをプレイしてもかまいません。
他のトリックテイキングゲームと同じように、切札がプレイされていたら最も強い切札を出したプレイヤー、そうでなければリードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。 勝ったプレイヤーが次のリードを行います。
トリックに勝ったプレイヤーは山札が残っていれば山札から1枚取ります。他のプレイヤーもその右隣から反時計回りの順に1枚ずつ取っていきます。 そのあとリードをして次のトリックのプレイとなります。 山札がなくなったあともプレイを続け、山札も手札もなくなったら、プレイ終了です。
プレイが終わると、取ったカードの点数を計算します。パートナーどうしの点数は合計します。
最も多い点数を取った取ったチーム(61点以上を取ったチーム)が、そのディールの勝者になります。 同じ点数の場合は勝者がなく、引き分けになります。
5ディール中3勝したほうがゲームの勝者になります。 3勝したらそれ以降のデールは行いません。 引き分けはプレイしたディールには数えません。
5ディールではなく3ディールにすることもあります。
パートナーはありませんが、4人ゲームと同じように行います。
どれかのスートの2を抜いて、39枚のカードで行います。 パートナーはありません。
プレイで2人が41点以上を得たら、その2人が1勝ずつします。 1人だけ41点以上だったらそのプレイヤーは2勝となります。 120点全部を取ったら、3勝です。 全員が40点なら、引き分けです。
隣の隣に位置するプレイヤーどうし3人がチームを組みます。
全スートの2を抜いて、36枚のカードを使います。
4人ゲームと同様にプレイとプレイ結果の判定を行います。
4人ゲームや6人ゲームでは、次のような顔のシグナルで、パートナーに自分の持っている切札などを知らせることができます。 シグナルは敵側に見られないように注意して行ってもかまいません。
シグナル | 意味 |
---|---|
切札アッソ | 歯を見せて唇を広げる。 |
切札3 | 口を片方に歪める |
切札レ | 上をちらりと見る。 |
切札カバロ | 舌の先を見せる。 |
切札ファンテ | 片方の肩をすくめる。 |
本文で紹介したシグナルはPagat.comによりますが、Wikipediaには次のようなものが紹介されていました。
イタリア語Wikipedia
シグナル | 意味 |
---|---|
切札アッソ | 唇を閉じる |
切札3 | 唇を横に縮める |
切札レ | 目を回す |
切札カバロ | 肩を上げる |
切札なし | 目をつぶる |
切札の弱いカード | 親指と人差し指をこする |
英語Wikipedia
シグナル | 意味 |
---|---|
切札アッソ | 歯を見せて唇を広げる。または、唇をすぼめる。 |
切札3 | ウインクする。または、口を片方に歪める |
切札レ | 上をちらりと見る。または、眉毛を上げる。 |
切札カバロ | 片方の肩をすくめる |
切札ファンテ | 舌の先を見せる。または、唇をなめる。 |
切札以外のアッソか3 | 口を素早く開けて閉じる |
2人用のブリスコラですが、次のようなルールのバリエーションがあります。
2人用のプリスコラです。 2人の手札はすべて公開してプレイします。 それ以外は、普通の2人用のルールを使います。
これも手札を公開する2人用ブリスコラですが、普通のブリスコラと次の点が違います。
2023年4月1日、なかよし村でプレイしました。
ビッドを行わないトリックテイキングゲームは評判が悪いことが多いのですが、この日は結構盛り上がっていたようで、私も楽しく遊べました。 フォローの義務がないんので戸惑うかとも思ったのですが、さすがに手札が3枚しかないので、ほどよくプレイの選択ができたようです。
単純ですが奥深いゲームです。 ボードゲームアリーナやスマホでもプレイできるので、一度やってみることをお勧めします。