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ユーカー(Euchre)

 2000/10/17 赤桐
2008/1/5修正

 19世紀後半から20世紀の初頭まで、米国で大変盛んにプレイされたトリックテイキングゲームです。現在でも米国の代表的なゲームの1つであり、英国の一部地方でも盛んです(英国ののルールは別のページにあります)。

 ユーカーは最初にジョーカーを使ったゲームだといわれていますが、現在の米国ではジョーカーなしでプレイされることが普通です。

 いろいろな種類があるのですが、ここでは現在の米国で普通と思われるルールを紹介します。


人数

 4人。向かいあった2人がパートナーとなります。誰とパートナーになるかは、最初から決めておいたり、そのときの話し合いで決めてよいのですが、抽選で決めるときは、ドローを行って、上位の2人がパートナーになり、残りの2人もパートナーになるというようにします。

カード

 普通のトランプから各スートの2〜8のカードを除いた24枚のカードを使います。つまり、各スートが10しかありません。ジョーカーも使用しません。

カードの強さ

 切札のスートでは、強いのから順に、(ライトバウアー=正ジャック)、切札と同色のスートの(レフトバウアー=裏ジャック)、10の順です。レフトバウアーはマークで表示されているスートではなく切札のスートに属します

 切札以外のスートでは、10の順です。

 切札がダイアモンドの場合は、強いものから順に次のようになります(あくまで、ダイアモンドが切札の場合のです。)

 切札スート(この場合はダイアモンド)

  [DJ]HJ][DA][DK][DQ][D10][D9]

 そのほかのスート

  [HA][HK][HQ][H10][h9]

  [SA][SK][SQ][SJ][S10][S9]

  [CA][CK][CQ][CJ][C10][C9]

ディール

 最初のディーラーどのようなやり方で決めてもかまいません。ディーラーはディール毎に左隣のプレイヤーに移ります。

 ディーラーは、ディーラーの左隣から時計回りに、まず3枚ずつまとめて各プレイヤーに配り、次に2枚ずつ配ります。各プレイヤーは5枚ずつの手札を持つことになります。

 残りの4枚のカードはテーブル中央に裏向きに置きますが、一番上のカードだけは表向きにして別にテーブルに置きます。このカードを「切札候補カード(turn-up/face-up card)」と呼びます。

ビッド

 ディーラーの左隣から順に時計回りに、切札候補カードのスートを切札にするかどうかを宣言していきます。これをビッドと呼びます。オーダー(order the card up/order up)と宣言したら、そのスートが切札に決まり、ビッドが終了します。そうしたくないときにはパスとビッドします。

 全員がパスをした場合には、切札候補カードは裏向きにされ、ディーラーの左隣から新しいビッドが始まります。
 今度は、自由にスートをビッドしてそれを切札にすることができます。例えば、「スペード」というようにです。ただし、最初の切札候補のスートをビッドすることはできません。今回も、誰かが切札スートをビッドしたら、ビッドは終了します。

 このビッドでも全員がパスをした場合には、プレイは行われず、配り直しとなります。ディーラーは左隣に交代します。

 なお、1巡目のビッドでも2巡目のビッドでも、切札を決めたプレイヤーはメーカー(maker/caller)と呼ばれます。

1人プレイ

  メーカーは1人でプレイする(Order it up alone.)と宣言することができます。この宣言があると、メーカーのパートナーは手札を伏せて置いておきます。このプレイヤーとその手札はプレイには参加しません。

 また、メーカーがいないほうのパートナーの1人も、1人でプレイすることを宣言することができます。この場合も、そのプレイヤーのパートナーはプレイには参加しません。

交換

 切札表示カードが切札に決まったときには、ディーラー(メーカーではない)は、プレイの前に、切札表示カードを手札に加え、不要なカードを1枚裏向きに捨て札することができます。この交換は行わなくてもかまいません。

プレイ

 トリックテイキングゲームの通常のルールに従います。

 誰がメーカーでも、ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードをします。1人プレイが行われて、そのプレイヤーがプレイしない場合には、その左隣のプレイヤーが最初のリードをします。

 これ以外のルールは普通のものです。簡単にまとめると:

  1. リードするときのカードは自由です。
  2. 他のプレイヤーはリードされたスートが手札にあれば出さなければなりませんが、なければどのカードを出してもかまいません。
  3. 切札がプレイされたときは、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。そうでないときは、リードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーが勝ちます。
  4. 取ったトリックはパートナーごとに裏向きにして、トリック数がよくわかるように置きます。
  5. 勝ったプレイヤーは次のリードを行います。どのカードを出してもかまいません。

 なお、切札のカードとその強さは、前に書いたように変則的です。

 特に、切札のスートと同色のスートのジャックが切札に属することにご注意ください。例えば、ダイアモンドが切札で、Jが手札にあって他のダイアモンドのマークのカードを持っていない場合には、切札であるダイアモンドのリードがあったときには、Jをプレイしなければなりません。逆に、ハートのリードのときに、Jをプレイすることはできません(他のハートのマークのカードを全く持っていない場合を除く)。

得点

 得点はパートナーごとに付けます。1人プレイがあった場合にも、パートナー2人の得点となります。

 メーカーの側が3トリック以上取った場合には、次のような得点となります。

3トリックか4トリック勝った場合1ポイント
5トリック全部勝った場合2ポイント
1人プレイで5トリック全部勝った場合4ポイント

 5トリック全部勝つことをマーチ(march)と呼びます。

 なお、1人プレイで3トリックか4トリックしか勝たなかった場合は、1ポイントだけです。

 メーカーの側が3トリック以上取ることに失敗した場合には、相手側が2ポイント得点します。(これをユーカーされると言います。)

 相手側が1人プレイしてユーカーした場合には、2ポイントではなく4ポイントの得点になります。

ゲーム

 何回かプレイを行って、片方のパートナーが決められた点数に達したときそのパートナーの勝ちになります。

 通常、10ポイントがその点数です。


 各スートのを含めた32枚のカードを使うこともあります。この場合も配る枚数は各プレイヤー5枚だけです。

注2

 米国の古いルールでは、ジョーカーと各スートのを含めた33枚のカードを使用します。また24枚のカードにジョーカーを含めることもあります。

 ジョーカーを含んだときのプレイの仕方はユーカーの英国ルールを参照してください。

注3

 メーカーが1人でプレイする場合に限り、相手側も1人でプレイすることを宣言することができるというルールもあります。

 また、相手側は1人でプレイすることができないルールもあります。

注4

 ディーラーが切札表示カードと手札の交換をしない場合、ディーラーのパートナーが交換できるというルールもあります。

注5

 1人プレイが行われる場合には、1人プレイをするプレイヤーの左隣のプレイヤーが最初のリードを行うというルールもあります。

注6

 ビッドの2順目でディーラーに回ってきたら、パスをすることはできないというルールもあります。このルールはスティック・ザ・ディーラー(Stick the Dealer)と呼ばれます。