2024/4/6 赤桐
オーストリアでプレイされているタロットカードのゲームです。 タップタロックから派生したゲームで、ハンガリアン・タロックとも関係があります。
ルールはichael Dummett氏とJohn McLeod氏の著書”A History of Games Played with the Tarot Pack”、 Philebus氏の著書“Tarocchi”、および英文Wikipediaに拠ります。
3人。
タロットカード78枚からスペードとクラブ(剣とこん棒)の1~9とハートとダイアモンド(貨幣と杯)の2~10を除いた42枚のカードを使います。
各スートのカードとその強さは強いものから順に次のようになります。
スペードとクラブ:
キング、クイーン、カバロ、ジャック、10
キング、クイーン、カバロ、ジャック、1
その他に22枚の切札のスートがあります。切札の最強のカードは数字が何も入っていない「スキュース(愚者)」のカードです。 次に強いのが21(またはローマ数字でXXI)の数字の書かれているカードで「モンド」と呼ばれます。 以下、数字が小さくなると弱くなっていき、1(I)(「パガット」と呼ばれる)が切札では最弱のカードとなります
カードの点数は次の通りです。
カード | 点数 |
---|---|
スキュース(愚者) | 5点 |
切札21 | 5点 |
切札1 | 5点 |
それ以外の切札 | 各1点 |
キング | 各5点 |
クイーン | 各4点 |
カバロ | 各3点 |
ジャック | 各2点 |
1、10 | 各0点 |
全部の合計点数は90点です。
最初のディーラーは任意の方法で決めます。 次回からは反時計回りの順に交代します。
ディーラーは、最初の6枚のカードをタロンとしてテーブル中央に裏向きに置きます。 そのあと、ディーラーの右隣のプレイヤーから反時計回りに、各プレイヤーに6枚ずつ2回配ります。
ディールの後ディーラーの右隣から反時計回りの順にビッドを行います。
ビッドするときは、このあと述べる3種類のビッドのうちどれかをビッドします。 パスをしてもかまいませんが、パスをするとそのあとビッドをすることはできません。 パスをしなければ、何度でもビッドできます。
誰かがビッドしたあとは、今までのビッドより強いビッドしかできません。 ただし、既にパス以外のビッドをしていてその後パスをしていないプレイヤーは、「ホールド(hold)」と宣言して、最後のビッドと同じビッドをすることができます。
ホールドのビッドはビッドの直後に行わなくてはなりません(ビッド順を戻ることになります)。 ホールドできるプレイヤーが1人いたときは、ホールドできるプレイヤーがホールドするかどうかを確認し、パスならばそのままビッドを続けます。 ホールドできるプレイヤーがホールドを宣言したとき、その前にビッドしていたプレイヤーはパスをするかもっと強いビッドをしなくてはなりません。 このようにしてどちらかがパスをするまでビッドを続け、パスがあったら次のプレイヤーのビッドの番になります。
従って、ビッド中には、ホールドが可能なプレイヤーは最大1人しか存在せず、ビッドは1周だけになり、勝ち抜き戦のようになります。
最後にビッドを行ったプレイヤーがデクレアラーになります。 ビッドしたゲームの種類をプレイします。
全員がパスをしたら、プレイは行いません。次のディールを行います。ディーラーは交替します。
プレイヤーがビッドできるのは次の3種類のどれかです。 後で説明しているものほど強いビッドになります。 そのビッドでデクレアラーになった時のルールを以下で説明します。
どのビッドの場合も、デクレアラーはプレイで46点以上のカードの点数を取ることを目指します。
デクレアラーはタロンの上の2枚を手に取って自分だけで見ます。 このカードでよければ、それを手札に入れて、2枚を捨て札します。 この場合、ゲーム点は2点です。
そうしないときは、最初の2枚を表向きにテーブルに置き、タロンの次の2枚を見ます。 これでよければ、同様に手札と交換を行います。 この場合、ゲーム点は4点です。
そのカードで満足しないときは、2回目の2枚のカードも表向きにテーブルに置き、タロンの最後の2枚のカードを見ます。 そのカードでよければ、同様に手札と交換を行います。 この場合、ゲーム点は6点です。
それでも満足できないときは、最初の2枚か2回目の2枚のどちらかから選択して交換することになります。 ゲーム点は、最初の2枚を選択したときは8点、2回目の2枚のときは10点となります。
つまりゲーム点は、2点 x 1~5です。
なお、捨て札はキング、切札21、切札1、スキュースを含んではいけません。 また、切札が多すぎて捨てざるを得ないときを除き、切札も捨ててはいけません。 (切札を捨てるときは表向きにします)。
2枚と同様ですが、1枚しか交換できません。
2枚の場合と同じように、タロンの上から1枚ずつ見て、交換するか公開します。 ゲーム点は、3点、6点、9点、12点、15点、18点、21点、24点、27点、30点、33点となります。 (3点 x 1~11)。
捨て札の制限は2枚のときと同じです。
手札とタロンの交換はしないで、プレイします。
ゲーム点は40点です。
ビッドが終わると、上記のようにタロンとの交換を(必要なら)行います。
そのあと、順序は関係なく、誰でも、次のような手役の宣言を行うことができます。 自分1人の手札にそのカードがあるときに宣言できます。 手札を見せる必要はありません。
ソロのビッドのときは、これらの点数は2倍になります。
また、このときパガット・ウルティモ(Pagat Ultimo)の予告を行うこともできます。 これは、宣言したプレイヤーが最後のトリックで切札1でトリックに勝つという予告です。
プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。プレイの順序は反時計回りです。 最初のリードは、デクレアラーが行います。
フォローの義務は次のようになります。
切札以外がリードされた場合:
切札がリードされた場合:
トリックに勝つのは、通常通り、切札がプレイされていれば最も強い切札を出したプレイヤー、切札がプレイされていなければリードされたスートで最も強いカードを出したプレイヤーです。 トリックに勝ったプレイヤーが次のリードを行います。
デクレアラーの取ったカードの点数を合計します。 デクレアラーが交換したときの捨て札は、デクレアラーのものとして点数に入れます。 交換しなかったタロンのカードは相手側のものになります。
デクレアラーが46点かそれ以上取った時はプレイ成功となり、そうでないときはプレイ失敗になります。
プレイ成功のときは、デクレアラーでない各プレイヤーがデクレアラーにこのディールのゲーム点を支払います(デクレアラーはゲーム点の2倍を受け取ることになります)。 プレイ失敗のときは、デクレアラーが他の各プレイヤーにゲーム点を支払います(デクレアラーはゲーム点の2倍を支払うことになります)。
デクレアラーが最後のトリックに切札1で勝ったら、パガット・ウルティモとなり、他の各プレイヤーから5ゲーム点を得点します。 デクレアラーでないプレイヤーが最後のトリックに切札1で勝ったら、やはりパガット・ウルティモになり、デクレアラーが他の2人に5ゲーム点を支払います。 (この場合は達成したプレイヤーだけが得点するわけでなく、デクレアラーでない側のチーム全員が得点することになります)。
パガット・ウルティモを予告していて達成したときは10ゲーム点になり、失敗したときも10ゲーム点支払います。 この場合も、デクレアラーが他の2人から貰うか、支払うかになります。
予告していなくても、最後のトリックでパガットを出して相手側のプレイヤーがそれを取った時は、5ゲーム点の失敗となります。
パガット・ウルティモの得失点もソロのときにはすべて2倍となります。
ゲームがいつ終わるかについては、特に決まっていませんが、全員が同じ回数だけディーラーになるようにします。
”A History of Games Played with the Tarot Pack”で別ルールとして取り上げられているものは次のようになります。
本文のゲーム点のルールは、全部見たほうが高得点を狙えるのが不合理のようにも思われるので、こちらのほうが良いかもしれません。
ただ、これだと公開を増やせば失敗の場合のゲーム点も減り、リスクが減ってしまうので、公開を増やしても失敗したときのゲーム点は減らないようにしたほうが良いかもしれません。
なお、ゲーム点を増やすルールは普通のようですが、ゲーム点自体はいろいろです。 本文は英語Wikipediaに準じています。 ソロのゲーム点は、8点など低いこともあります。
ゲームの名称は Block Tarock とも呼ばれます。
カードの点数は、他のタロットカードのゲームのように補正を行うことも多くあります。
ビッドは勝ち抜き方式でないこともあるようです。
次のボーナス点があることも多いです。
2024年4月6日になかよし村でプレイしました。
中欧東欧系のタロットゲームとしては標準的な感じで、ルールがそれほど複雑でなく、楽しめます。 パガット・ウルティモは結構できるので、狙っていったほうが良いかもしれません。
ただ、タロンを見るたびにゲーム点が増えるのはちょっと理不尽のように思われました。 ただ、逆にゲーム点を減らすのも良いかどうかよくわかりません。