1997/9/9 赤桐
トランプを使用する中国のゲームです。トリックテイキングゲームであり、打百分というゲームを拡張したものですが、6人〜12人という大人数で行うゲームです。カードも2組〜4組使います。(漢字では、手偏に「戦」の字の右半分をつけた字に「朋友」という字を書きます。)
中国のトリックテイキングゲームにはよくあるように、複数枚数のリードができます。また、日本のナポレオンと同じように、カードを指定して、臨時のチームを組みます。
ルールはJohn McLeod氏のインターネットのサイト(http://www.pagat.com/)によりました。
6人〜12人
通常の52枚のカードを何組かと、ジョーカーを何枚か使います。ジョーカーは、大ジョーカー(赤ジョーカー)と小ジョーカー(黒ジョーカー)の区別が必要です。
人数により、次のように使用枚数が決まります。
人数 | 52枚のカード | 大ジョーカー | 小ジョーカー |
6人 | 2組 | 2枚 | 2枚 |
7人 | 2組 | 0枚 | 0枚 |
8人 | 3組 | 2枚 | 0枚 |
9人 | 3組 | 3枚 | 0枚 |
10人 | 3組 | 0枚 | 0枚 |
11人 | 3組 | 2枚 | 2枚 |
12人 | 4組 | 2枚 | 0枚 |
このゲームでは、1つのスートが切札になるだけでなく、あるランクのカードも切札になります。例えば、ハートと8が切札ということになれば、ハートのカード全部が切札で、8のカード(8、8、8、8)も切札になります。
また、大ジョーカーと小ジョーカーは常に切札です。
これらのカードは切札のスートに属し、元来のマークのスートには属さなくなります。上記の例では、例えば8はスペードには属さず、切札のスートとなります。
切札におけるカードの強さは、強いものから順に次のようになります。
切札以外では、通常のカードのランク(A、K、...3、2)の順の強さになります。
カードには次のような点数があります。下記以外のカードには点数はありません。
各キング | 10点 |
各10 | 10点 |
各5 | 5点 |
各プレイヤーは、得点すると、カードのランクと同じように表わされる「ランク」が上がっていきます。最初はすべてのプレイヤーは2のランクです。ランクがAまで上がれば、そのプレイヤーの勝利でゲームは終わります。
また、プレイヤーは、プレイで2つの臨時のチームに別れて戦うことになりますが、プレイの結果、自分のチームが勝ったか負けたかが、次のディールのプレイと得点に影響します。
ディールのやり方はヨーロッパのやり方とは全く違い、麻雀のように行います。つまり、テーブル中央にシャッフルしたカードを裏向きに置き、各プレイヤーが順に、自分でカードを取っていくのです。
このとき、最初にカードを取るプレイヤーを仮親と呼ぶことにします。
最初の仮親は、カードをドローして、最も高いランクのカードを引いたプレイヤーになります。同ランクならば、そのプレイヤーのあいだで引き直しです。ランクは大ジョーカーが一番強く、小ジョーカーがその次、それ以降は通常のランクです。
次回のディールからは、前回の「親」(後で述べますが、切札を決めたプレイヤーのことです)が仮親となります。ただし、前回の親が負けていた場合には、親の右隣から反時計回りの順に調べていって、最も親に近い、前回勝ったプレイヤーが仮親になります。
仮親は、シャッフルを行い、誰かにカットしてもらってから、テーブル中央に裏向きにすべてのカードを置きます。
そのあと、仮親から順に反時計回りにテーブル中央に置かれたカードの一番上を1枚ずつ取っていきます。最後の6枚のカードは取りません。従って、各プレイヤーの取るカードの数は次のようになります。
6人ゲーム | 17枚 |
7人ゲーム | 14枚 |
8人ゲーム | 19枚 |
9人ゲーム | 17枚 |
10人ゲーム | 15枚 |
11人ゲーム | 14枚 |
12人ゲーム | 17枚 |
ディールの間に、前回勝ったプレイヤーが自分のランクと同じランクのカードを引いた場合には、そのカードを見せて、そのカードのスートとランクを切札にすることができます。
例えば、前回のディールで勝っている5のランクのプレイヤーが、5のカードを引いてきた場合、このカードを見せて、スペードと5を切札にすることができます。
誰かがこのようにして切札を決めたら、それ以降のプレイヤーは自分のランクのカードを引いても切札を決め直すことはできません。
なお、自分のランクのカードを引いても、それを見せる義務はありません。また、すぐに見せなくてもかまいません。自分の引く番でなくても、いつでもそれを見せて切札を決めることができます(もちろんほかのプレイヤーが切札を決める前でなくてはなりませんが)。
切札を決めたプレイヤーがこのディールの「親」になります。
最初のディールでは、全プレイヤーが前回勝っているとみなされます。従って、2のランクのカードを引いたプレイヤーは誰でも、切札のスートを決めて親になることができるわけです。
ディールが終わっても誰も切札を決めない場合には、同じ仮親がすべてのカードをシャッフルし直して、再びディールをおこないます。このときには、すべてのプレイヤーは、前回勝っていたとみなされます。
親(切札を決めたプレイヤー)は、テーブルに残っている6枚のカードを手札に加えたあと、手札から自由に6枚のカードを捨て札します。捨て札したカードは裏向きのまま、他のカードと混じらないように、テーブルの隅に置きます。
親は、日本式ナポレオンと同じように、カードを指定することによって、そのカードを持っているプレイヤーを自分のチームに入れます。
指定するカードは、切札以外のものでなければなりません。自分の持っているカードを指定してもかまいません。
しかし、同じカードが何枚かあるので、カードのスートとランクを指定するだけでなく、何枚目にプレイされるカードかを指定しなければなりません。例えば「Aの2枚目」というふうに宣言します。この場合はAを持っているプレイヤーのうち、それを2回目にプレイしたプレイヤーが親のチームになります。従って、プレイが進行しないと、誰がどのチームかは確定しないことになります。
親は、このようなカードの指定を、次の回数だけ行います。
6人,7人ゲーム | 2回 |
8人,9人ゲーム | 3回 |
10人,11人ゲーム | 4回 |
12人ゲーム | 5回 |
指定されたカードを持っているプレイヤーは、実際にそのカードをプレイするまで、そのことを公表することはできません。
プレイはトリックテイキングゲームの原則に従って行われます。ただし、このゲームでは複数枚数のリードが可能です。
最初のリードは親が行います。次からはトリックに勝ったプレイヤーがリードします。プレイは反時計回りに行われます。
親のチームではないプレイヤーや、チームが不明のプレイヤーが、点数のあるカードを取った場合、そのプレイヤーの前に点数のあるカードを表向きに置きます。
点数のないカードや、親のチームが取った点数のあるカードは、裏向きに捨て札します。このとき、親が手札を交換したときの捨て札といっしょにならないように注意してください。
親がチーム編成のために指定したカードを、あるプレイヤーがプレイした場合には、そのカードは表向きにそのプレイヤーの前に置かれ、そのプレイヤーが親のチームであることを表示します。そのプレイヤーが今までに点数のあるカードを取っていたら、そのカードは捨て札します。
リードすることのできるカードは次のようなものです。
これから詳しく説明します。
リードするプレイヤーは、自分の手札からどれでも1枚をリードすることができます。
フォローの義務は、ごく普通のもので次のようになります。
トリックに勝つのは次のプレイヤーです。
なお、同じ強さのカードでは、先に出したプレイヤーが勝ちます。同じ強さのカードとは、同一のカード(同スート同ランクのカード)や、切札のランクのカードで切札のスート以外の3種のカードです。
この場合のセットとは、同一のカード、つまり同じスートで同じランクのカードを何枚かいっしょにしたものです。例えば、7が2枚とかです。
このようなセットを持っていれば、リードすることができます。
フォローの義務は次の通りです(番号の少ない方が強い義務です)。
トリックに勝つのは次のプレイヤーです。
なお、同じ強さのセットでは、先に出したプレイヤーのほうが勝ちます。
例:
クラブと9が切札のとき、Jの2枚のセットがリードされました。
5が2枚と6が2枚、というように、セットになったカードの、同じ枚数で同じスートの続き札です。
切札のランクは無視されるので、例えばクラブと7が切札だとすると、6が3枚と8が3枚でも、セットのシークエンスになります。
切札を出す場合にも、切札のランクは無視されます。例えば、同じくクラブと7が切札の場合、6が2枚と7が2枚というふうに出すことはできません。6が2枚と8が2枚なら出すことができます。また、ジョーカーはシークエンスにはなりません。
シークエンスは、A、K、Q、J、...、3、2と続きます。
例:スペードと4が切札だとすると、
以下のものは、セットのシークエンスです:
以下のものは、セットのシークエンスではありません。
フォローの義務は次の通りです(番号の少ない方が強い義務です)。
トリックに勝つのは次のプレイヤーです。
例:
スペードと4が切札の場合、Qが2枚とJが2枚リードされました。
あるスートにおいて、あるカードより強いカードが他のプレイヤーの手札の中にはない場合、そのカードを「トップカード」と呼ぶことにします。
例えば、切札がハートと5だった場合で、あるプレイヤーの手札のスペードのカードがA、A、K、Q、Jだった場合、すでに他のAとKがすべてプレイされていれば、A、A、K、Qはトップカードになります。
なお、大ジョーカーと切札以外のAは常にトップカードになります。
トップカードは何枚かまとめてリードすることができます。ただし、次の制限があります。
例えば、ダイアとJが切札の場合、次のカードがトップカードならば、まとめてリードできます。
次のようなものは、トップカードであっても、まとめてリードできません。
フォローの義務は次の通りです(番号の少ない方が強い義務です)。
トリックに勝つのは次のプレイヤーです。
例:
スペードと5が切札で、A、K、Qがリードされた場合。
スペードと5が切札で、Aが2枚とKが2枚とJが2枚リードされた場合。
プレイが終了すると、親のチームでないチーム(防御チームと呼ぶことにします)は、取ったカードの点数を合計します。
親が最初に捨て札した6枚のカードは、最後にトリックに勝ったチームのものとなり、そこに含まれる点数は2倍されます。
使用したカードの組の数に40点を掛けた点数が勝敗の別れ目になります。防御チームがその点数かそれ以上を取れば防御チームの勝ち、そうでなければ親チームの勝ちです。
例えば、6人ゲームでは2組のカードを使いますが、2 x 40 = 80点かそれ以上を防御チームが取ると防御チームの勝ちになるわけです。
勝ったチームの各プレイヤーは、次のゲーム点を得ることができます。負けたチームは何ももらえません。
防御チームの点数 | 各プレイヤーがもらうゲーム点 |
0点 | 親チームが2点。親チームの人数が最大人数よりも少なければ、1人少ないごとにさらに2点 |
0点以上 40点xカードの組数未満 | 親チームが1点。親チームの人数が最大人数よりも少なければ、1人少ないごとにさらに1点 |
40点xカードの組数以上で 80点xカードの組数未満 | 防御チームが1点 |
80点xカードの組数以上で 100点xカードの組数未満 | 防御チームが2点 |
100点xカードの組数以上 | 防御チームが3点 |
親チームの最大人数とは、親がチーム編成のために指定したカードを、すべて親以外の別のプレイヤーが出した場合の人数です。例えば、7人ゲームでは2回指定するので、親を含めて3人が最大人数となります。
既に述べたように、各プレイヤーは得点するとカードのランクと同じように表わされる「ランク」が上がっていきます。最初はすべてのプレイヤーは2のランクです。ランクは(低)2、3、4、5、6、7、8、9、10、J、Q、K、A(高)の順です。
勝ったチームのプレイヤーは、そのプレイヤーが前回も勝っていた場合は、ゲーム点の分だけランクが上がります。例えば、ランクが9のプレイヤーがゲーム点を3もらった場合、ランクは3つ上がってQになります。
勝ったけれど、前回のディールでは負けていたプレイヤーは、得られたゲーム点より1つ少ない分だけランクが上がります。例えばランク3で前回負けていたプレイヤーが2点を得ると、ランク4になるわけです。もらったゲーム点が1点だった場合には、ランクはそのままです。
負けたチームのプレイヤーも、ランクは変わりません。
得点計算の結果、あるプレイヤーのランクがA(以上)になると、そのプレイヤーの勝利でゲームは終わります。
McLeod氏の記述では、前回のディールで勝っているプレイヤーを「アクティブ(Active)」なプレイヤー、負けているプレイヤーを「パッシブ(Passive)」なプレイヤーと呼んでいます。
それに当たる日本語を探したのですが、あまりぴったりこのないので、今のように記述しました。
考えた言葉は、「プラス・マイナス」「上・下」「上・並」「富豪・貧民」などですが、どうでしょうか。もっとよい言葉があればお聞かせ下さい。
もとの中国語でどのように言われているのかも興味ありますが、今のところわかりません。