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クラフェルヤス(Klaverjas)

2009/12/6 赤桐

 オランダで最もよくプレイされているゲームの1つだそうですです。トリックテイキングゲームでヤスという種類に属します。アムステルダム、ロッテルダム、ウレヒトという都市の名前の付いた亜種がありますが、ここで紹介するのはアムステルダムです。

 ルールはhttp://www.pagat.comによりました。


人数

 4人。向かい合った2人がパートナーになります。

カード

 トランプの各スート10の32枚を使います。

カードのランクと点数

 各スートのカードの強さの順と点数は次のようになります。強さは左へいくほど強くなります。切札とそうでないスートでは強さの順も点数も違います。

切札の場合 強さの順 10
点数 20 14 11 10 4 3 0 0
切札以外 強さの順 10
点数 11 10 4 3 2 0 0 0

 カードの点数の合計は152点です。

ディール

 最初のディーラー任意のやり方で決めます。ディーラーはディールごとに左隣のプレイヤーに移ります。

 ディーラーは、ディーラーの左隣から時計回りに、まとめて3枚ずつ各プレイヤーにカードを配ります。つぎに2枚ずつカードを配り、最後に3枚ずつカードを配ります。各プレイヤーの手札は8枚になります。

切札決め

 ディーラーの左隣のプレイヤーが切札のスートを何にするかを決めます。決めたくないときにはその左隣のプレイヤーが切札を決めることができます。誰かが切札を決めるまでこれを時計回りの順に行います。

 1巡して誰も切札を決めなかったときは、ディーラーの左隣のプレイヤーが切札を決めなくてはなりません。

プレイ

 切札を決めたプレイヤーに関係なく、必ずディーラーの左隣りのプレイヤーが最初の リード を行います。 トリックテイキングゲーム のプレイです。プレイの順序は時計回りです。

 プレイは、通常通り、切札が出ていない場合は、リードされたスートの最も強いカードを出したプレイヤーが勝ち、プレイされたカードを取ります。切札が出ている場合は、最も強い切札を出したプレイヤーが勝ちます。 勝ったプレイヤーが次のリードを行ないます。どのカードをリードしてもかまいません。

 切札がリードされたときのフォローの規則は次の通りです。

  1. 今までに出た切札よりも強い切札を持っていたら、出さなければなりません。パートナーが最も強い切札を出していてもそれより強い切札を出さなければなりません。
  2. 今までに出た切札より強い切札を持っていなければ、他の切札を出します。
  3. 切札を持っていない場合、どのカードを出してもかまいません。

 切札以外がリードされた場合は次のようになります。

  1. リードされたスートを持ってる場合には、リードされたスートを出さなければなりません。
  2. リードされたスートを持っていない場合で、今まで出ている中で最強のカードを相手チームが出している場合:
  3. リードされたスートを持っていない場合で、今まで出ている中で最強のカードをパートナーが出している場合には、どのカードをだしてもかまいません。ただし、パートナーが切札を出している場合には、それより弱い切札を出すことはできません。

 どの場合でも、出すことのできるカードが2枚以上あれば、そのうちどれを出してもかまいません。

 このルールは次のように言い換えることもできます(リードが切札の場合もそれ以外の場合も):

  1. 最も強制力のあるルール: リードされたスートのカードがあれば出さなければならない。
  2. 2番目に強制力のあるルール: 今までに出た最も強い切札より弱い切札を出してはならない。
  3. 3番目に強制力のあるルール: 今までに出たカードの中で相手チームが最も強いカードを出していた場合は、可能ならばそれより強い切札を出さなければならない。
  4. 最後に: 上記ルールの範囲内で2枚以上の出すことのできるカードがある場合は、どれを出してもよい。

 切札以外のリードのときで、リードされたスートを出すことができるときには、強いカードを出す義務はないことにご注意ください。

ロエム(Roem ボーナス点)

 トリックを取ったときそのトリック(4枚のカード)に次の組み合わせがあったら点数になります。これをロエムと呼びます。

3枚のシークエンス
20点
4枚のシークエンス
50点
切札のキングとクイーン(スツック=Stuk)
20点
ジャック4枚
200点
エース4枚、キング4枚、クイーン4枚、10が4枚、のどれか
100点

 シークエンスとは同じスートの続き札です。例えば、SKSQSS10がトリックにあればシークエンスになります。シークエンスを判定するときのカードのランクはどのスートでも10の順の並びになります。

 シークエンスの中に切札のキングとクイーンがあればスツックも数えます。つまりキング・クイーンを含む切札の3枚シークエンスは40点、4枚シークエンスは70点となります。なお、当然ですが4枚シークエンスの点数を数えた時は3枚シークエンスの点数は数えません。

 トリックを取ったプレイヤーまたはそのパートナーがロエムを宣言したときだけ、ロエムの点数がつきます。あえて宣言しないで、ロエムの点数を発生させないこともできます。

得点

 最後のトリックをとったプレイヤーには10点がつきます。

 各チームはトリックで取ったカードの点数と最後のトリックの点数とロエムの点数を合計します。切札を決めたプレイヤーのチームの点数が相手チームより大きかったら、両チームは自分の点数を得点します。

 切札を決めたプレイヤーのチームの点数が相手チームと同じかあるいは少ない場合は、切札を決めたプレイヤーのチームの点数は0点になります。相手チームは両方のチームがとった点数(カードの点数+最後のトリックの点数+ロエム)を得点します。

シグナル

 このゲームで使われるシグナルの例は次のようになります。パートナーどうしの取り決めなので、別の意味になったり、別のシグナルを使ったりすることもあります。

同スートシグナル

 弱いカード()を捨て札したときは、そのスートのエース(最も強いカード)を持っていることを示します。絵札を捨て札したときは、そのスートをリードしないようにという意味になります。

別スートシグナル

 出したカードと同じ色の別スートが強いことを示すシグナルです。例えば、ハートのクイーンを出すと強いダイアモンドを持っていることを示します。このシグナルを使えば長いスートを保存して不要なシングルカード(そのスートの1枚だけのカード)を捨てることができます。

リードシグナル

 切札を決めたプレイヤーが最初のリードができるとき、そのリードするカードで行うシグナルです。

 切札のジャックを持っているが他の切札が少ないときには、他のスートの弱いカードをリードします。切札の数が少なく、ジャックを持っていないときは他のスートのエースをリードします。

ゲーム

 16ディール行い、合計得点の多いチームの勝ちになります。

 パートナーを替えて、16ディールのゲームを3回行い、最も合計得点の多いプレイヤーを勝者とすることもできます。


3人ゲーム

 ディールは、まず4枚ずつまとめて配り、次に3枚ずつ配り、テーブル中央に裏向きに2枚置いたあと、3枚ずつ配ります。手札は10枚になります。

 切札決めはディーラーの左隣から時計回りに行いますが、全員が切札を決めなかったときは、配り直しとなります。

 切札を決めたプレイヤーはテーブルの2枚のカードを手札に入れて、2枚を裏向きに捨て札します。この2枚のカードはプレイの後切札を決めたプレイヤーのものになります。

 切札を決めたプレイヤーが3人の全点数の半分より多い点数を取った場合は、各プレイヤーは自分の取った点数を得点します。

 そうでない場合は、切札を決めたプレイヤーの得点は0点となり、他のプレイヤーはそれぞれ3人の合計点数を得点します。


注1

 切札の決め方は、次のようなやり方もあります。

 1.ディーラーの左隣のプレイヤーが必ず決める(ウトレヒトのルール)

 2.シャッフルした別パックのトランプから1枚を引き、そのスートを切札に決めるかどうか、ディーラーの左隣から時計回りに宣言していく。全員が切札に決めなたったら次のいずれかの方法で切札を決める。

注2

 ロッテルダムのルールではプレイの規則は次のようになります。

  1. リードされたスートがあればそのスートを出さなければならない。
  2. リードされたスートがなければ、切札を出さなければならない。
  3. リードされたスートも切札もなければ、何を出してもよい。
  4. 切札を出す時には、可能ならそのトリックで今までに出ている切札より強い切札を出さなければならない。

注3

 プレイ中にロエムの点数を記録するため、次のような記号を使います。


 2008年12月6日、なかよし村でプレイしました。トリックで取ったカードでの役があるというのは少し珍しいです。なかなか面白いゲームでした。


ヤスのランクと点数

 ヤスのなかまのカードのランクと点数は似ているのですが微妙な違いもあります。まとめると、次のようになります:

ボーナケン(オランダ)、スタエクスケ・ラペ(オランダ南部)

切札の場合 強さの順 10
点数 20 14 11 3 2 10 0 0
切札以外 強さの順 10
点数 11 3 2 1 10 0 0 0

シーバー・ヤス(スイス)、コアフュール・シーバー・ヤス(スイス)、ミットレール・ヤス(スイス)

切札の場合 強さの順 10
点数 20 14 11 4 3 10 0 0
切札以外 強さの順 10
点数 11 4 3 1 10 0 0 0

クラフェルヤス(オランダ)、クラバヤス(英米ほか)、ブロット(フランス)、クラバー(米国インディアナ州)

切札の場合 ランク 10
点数 20 14 11 10 4 3 0 0
切札以外 ランク   10  
点数 11 10 4 3 2 0 0 0